2024.9.3

アイジー工業、エリア強化戦略が奏功し大幅な増収増益

生産力を強化、繊細な表面加工の新商品の投入も

新規エリア拡大による販売増で、創業以来初めて売上高が300億円を突破した。生産能力アップ、北関東の営業力強化など販売拡大に力を入れる。

アイジー工業の23年度の業績は、売上高が301億9400万円(前年度比21%増)、営業利益が22億1400万円(同41%増)の増収増益。売上高に関しては「創業以来、初めて300億円の大台を突破し、過去最高」(森安弘代表取締役社長)となった。商品別の売上は、サイディングが前年度比8%増、ルーフが同18%増、ヴァンドが同27%増。今年の9月にそれぞれの商品で価格改定を予定しているが、23年度は価格改定を行わずに販売を行った。同社は、昨年度から各地でアイジー体感フェアを実施し、地場の工務店や工事業者へ向けて金属サイディングがどのようなものか知ってもらう取り組みを続けているが、こうした取組みによる認知度の低いエリアの強化が功を奏し、販売数量の伸びが売上に反映された形だ。「体感フェアで工事業者に興味を持ってもらえると、そこから元請けの取引先まですそ野が広がる」(同社)と、特に関東圏での販売が好調だという。体感フェアは今年度も引き続き開催する予定で、水戸(茨城県)、新潟、浜松(静岡県)など、昨年度実施していない場所を中心に開催する。

金属の無骨さをウリにした25年度発売予定の「SP-ガルスクエア」

販売拡大を見据えては、23年3月に茨城県下妻市に取得したルーフの新工場を25年4月から稼働予定で、生産能力は3割アップする予定だ。また、北関東での営業強化のため、埼玉県さいたま市に置いていた北関東営業所を宇都宮営業所(栃木県)へ移設し、新たにスタートした。さらに24年4月にはサイディングを生産する寒河江工場(山形県)内に受注センターを新設し、各地の営業所で対応していたサイディング・ルーフの受注業務を集約・専門化する。

商品面では、24年度はサイディングの新色として、シンプルモダンシリーズに、近年人気の高いグレー系やアウトドア好きや自然の多い住宅に相性の良いグリーン系を追加。ナチュラルシリーズには、深絞りのエンボスで角度のついた山形を組み合わせ、光の当たり方で見え方が変わる「NPT-モンターニュ」、3種類のレンガ模様を組み合わせた「NPT-ヴァリオスブリック」、様々なデザインの建物に映える木目調の「NPT-スプリームウッド」、縦横に交差するボーダーとくしびき模様によってシャープさとやわらかさを兼ね備えた「NP-ファブリックライン」の4色を追加。また、25年度の新商品では、鋼板成型品として一定層の需要がある角波成型板デザインを落とし込んだ「SP-ガルスクエア」を始め、繊細な表面加工で高級感を出した商品などを予定している。開発にあたっては、東京営業所に開発部の若手を山形県から呼び寄せて、設計士などとコンタクトを取り開発のヒントを掴めるような環境を整備している。

24年度、25年度の新商品は、6月4日に北海道の札幌会場、7月26日に東京会場で開催したアイジーフェアでも展示した。「フェアの開催にあたって見本を施工業者に施工してもらっているが、新商品についてもかなり好評だった」(同社)と、反響が期待できそうだ。