未来につながる新たな和室の提案を

現代・和室の会 内田青蔵会長

和室文化の存続、継承のため、今年3月、「現代・和室の会」が設立された。現在、日本の住まいの中で和室の数は急激に減少しているという。
日本の伝統文化である和室をどう守り、新たな形で後世につないでいくか。同会の内田青蔵会長に話を聞いた。

─「現代・和室の会」設立の背景には、日本の住宅における和室の減少があります。いつ頃からどのように減少しているのでしょうか。

内田青蔵(うちだ・せいぞう)
1953年生まれ。1983年東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻博士課程満期退学。工学博士。文化女子大学教授、埼玉大学教授、神奈川大学工学部建築学科教授を経て、2023年4月から神奈川大学特任教授。主な著作に「『間取り』で楽しむ住宅読本」(光文社、2005)、「日本の近代住宅」(鹿島出版会、2016)、「住まいの建築史」(創元社、2023)、共著に「和室学」(平凡社、2020)、「和室礼賛」(晶文社、2022)など。

2000年を境に、和室は急速に減少するどころか、消え去ろうとしています。例えば2017年度の「フラット35住宅仕様実態調査」における「もっとも大きい和室の広さ」の項目をみますと、全国では5割、首都圏では7割の住宅において、和室が無い状況になっています。和室があっても多くが4畳以上6畳未満。壁で仕切られた独立した和室というより、近年多くなっているリビングなどの部屋の一部に畳を敷いた形が広がっていることが伺えます。

また、2019年に発表された、賃貸集合住宅における和室の有無を調べた研究があります(注1)。186件の賃貸アパート、マンションの間取りを調査したもので、築年数ごとに和室の有無を分類すると、1980年代までは7割以上の物件で和室がみられたものの、90年代で5割強、2000年代以降で1割となり、2010年代以降は和室のある物件はゼロという結果になりました。この論文では、戦後の住宅の洋風化が進む中で、応接の役割を担う伝統様式としての和室、狭小住宅で茶の間や寝室の役割を担う和室と、2つの役割で和室が残ってきた一方、畳自体のメンテナンスの煩雑さや洋室における床座の浸透により、和室自体が特に賃貸住宅で顕著に減少しつつある、と指摘しています。

─このままですと、和室での生活体験のない人が増えていくように思われます。


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