国産材製のフリー板に目を向けよう 林業への貢献をアピールできる商材に

利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。
林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。

スギ・ヒノキのフリー板が増えている

家具や什器、見切り材などの材料として重宝されているフリー板(集成材)については、メルクシパインやオウシュウアカマツ、北米産パインなど外材を原料としたものが多用されている。ホームセンターで販売されている商品も外材製のものばかりである。

しかし、近年、各地の製材所や木工業者が国産材のスギやヒノキを使用したフリー板を製造するケースが増えており、それらの業者と取り引きのある工務店や設計事務所での採用例も出てきている。

一般製材の構造材や羽柄材に関しては大型工場の優位は揺るがず、中小工場はコスト面で太刀打ちできない。各林業産地に多く立地しているそれら中小工場では、フリー板をはじめとする付加価値加工品の販売で活路を開こうとしている実態がある。国産材フリー板の利用が地域林業の活性化に資する側面を理解したい。

大径材は扱いが難しい

最近の林業をめぐる問題のひとつに、末口径(丸太の細い方の小口の直径)が40㎝を超える大径材の売れ行きが悪いということがある。

国産材の主要な商品である柱や間柱については、末口径24㎝程度までの丸太から製材するのが効率がいい。具体的な木取りは、芯から10、5㎝角や12㎝角の柱を取り、その周囲から幅10、5㎝あるいは12㎝、厚さ27㎜や30㎜の間柱を取るというものだ。

ところが、径が大きくなると芯から角材を取った残りの部分(「背板」という)も大きくなり、製材の効率が低下する。

背板が大きくなれば、1枚の背板から隣り合わせに間柱を2枚取るということも可能にはなる。しかし、そのような木取りをすると、必然的に板目材の中心線からずれた板を取ることになり、寸法安定性が低下する。

スギ製のフリー板。無垢の板目材をラミナに使用している

柾目面をあしらった商品もある

そうした芯去りの間柱を取る向きもあり、最近の乾燥技術なら不具合を抑えることも可能ではある。だが、材の中心線と板目の中心線とが一致した木取りをする方が品質が安定し、売りやすいため、大きな背板の中心から間柱を取り、その両側からは小割材のタルキや胴縁を取るといった木取りをするケースも多い。

そのように細やかな木取りをすれば歩留まりも上がるのだからいいだろうと思うかもしれないが、間柱やタルキ、胴縁といった一般材製品は価格的に大きな期待はできず、鋸を入れる回数が増える分、製造コストもかかり増しになる。

大径材からは断面の大きな梁桁用の平角を取ることができるわけだが、その場合も背板の処理が問題になるのは変わらない。

大断面の梁桁を取れる丸太になると、当然、背板も大きくなる。材料が大きくなれば、取れる製品の数も増えはする。それらが高く売れればいいが、価格的に期待できない一般材ばかりとなると、製材にかけたコストに見合う利益を得るのに苦労することになる。


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