2024.7.24

(一社)太陽光発電協会、太陽光発電産業の新ビジョンを策定

2050年に400GWの導入を目指す

太陽光発電産業の新ビジョン「PV OUTLOOK 2050」(2024年版ver.1)を策定した。2050年の導入量目標として400GWを掲げており、そのうち住宅用途は113.7GWを見込む。

(一社)太陽光発電協会は、太陽光発電産業の新ビジョン「PV OUTLOOK 2050」(2024年版ver.1)を策定した。

新ビジョンについて説明する増川事務局長

近年、脱炭素などの観点から太陽光発電の導入量が世界中で急拡大している。IEA(国際エネルギー機関)のデータによれば全世界における23年の新規導入量は約407~446GWで、前年度比79%~96%増と大幅に増加した。

また、欧州の太陽光発電の団体であるSolar Power Europeによれば、30年の新規導入量見通しは1TW(テラワット)と見込まれており、累計導入量は5~8TW規模になるとされている。

しかし、日本では太陽光発電の導入がなかなか進んでいない。全世界における23年の新規導入量のうち、日本の導入量は6.2GWで、全体の1.5%程だった。前年度からは1.4ポイント減と半減している。

一方、政府は第6次エネルギー基本計画のなかで、30年の累計導入量として103.5~117.6GWを目指している。しかし、20年度末の累計導入量は約61GWであり、導入目標をクリアするためには、あと6年で2倍程度に増やす必要がある。

今回の新ビジョンでは、最新の統計データを基に場所ごとの導入ポテンシャルを推計し、経済性を考慮した上で導入量見通しを算出。国の目標を超える125GWを30年の導入量に設定した。さらに、35年に173GW、50年に400GWの導入を見込む。これまで同協会が設定していた目標は30年目標が100GW、50年目標が300GWだったが、大幅に強化した形だ。

また、400GWのうち、最も多くの導入を見込むのが住宅用途の113.7GW。その内訳は、戸建てが90.9GW、集合住宅が14.6GW、BIPV(建材一体型太陽光発電)を搭載した住宅が8.2GWとなっている。

この実現に向けたポイントは、従来のFIT買電による普及から「自家消費型」の普及モデルへの転換を図ること。売電価格は年々低下しており、「電力は売るよりも自宅で消費した方がお得になる」(増川武昭 事務局長)ため、自家消費による経済効果を訴求していくことが重要になるという。

加えて、今後の技術開発もポイントとなる。狭小地対応など、住宅への太陽光発電の搭載には課題もあるが、「技術開発によって電力変換効率の向上が見込まれており、将来的にはFIT前の4割程度の面積で同じ容量の太陽光が設置できるようになる」(増川事務局長)と見ている。これにより、従来は導入が難しかった場所にも太陽光発電の導入が進むことが期待され、50年の目標達成に寄与する。

「今回の新ビジョンはver.1としているが、これは会員企業などと双方向のコミュニケーションを図り、相互に意見を出し合うことで順次内容をブラッシュアップしていくことを想定してのこと。単に公表して終わりではない」(増川事務局長)として、地域との共生・共創を図りながら太陽光発電のさらなる普及を促進していく考えだ。