所変わればの雨/酷い戦争の雨
所変わればの雨
前号で雨のことを書いたら、読者や記者仲間から、雨あられとは言わないまでも、様々な情報が寄せられた。雨はカンバセーションピースになるということか。と、いうことで恐縮ながら再び“雨”の話でご容赦いただきたい。
先ずはウソのようなホントのようなエピソードが住宅メーカーから。中東のアブダビ首長国の依頼で住宅を建てた。灼熱の砂漠の地での住宅建設。建設を終えて1か月ほど経ってアブダビから一通の電報が届いた。アラビア語とあってちゃんと判読できない。だが、何とか辞書を頼りに読むと「雨もりがしている」「天井から雨がポタポタ落ちてきた」といった文字が。社長ら役員もビックリで、「ウワー、アブダビからクレームだ」と大騒ぎに。というのも、計画段階でアブダビはあまり雨が降らないので屋根防水の必要はない、と言われ、持ち込んだ防水シートも使わなかった。雨もりの言葉に「それ、みたことか」となった。ところがよく読んでいくと怒っている文面ではない。むしろ喜こんでいる。感謝している、というのだ。調べてみてわかった。昼夜の温度差からの“結露”が原因だった。室内外の温度差で水蒸気が壁や天井につき、ポタポタと落ちて来たのだ。アラブの人たちにとって雨は神様の思し召しによるありがたいもの。結露なんて知らないから“雨を降らす家”と評判になっているというのだ。所変わればで、長所も欠点になり、欠点も長所になる。日本だって北海道と沖縄では家のつくりようはちがう。地域に合った住まいづくりが必要ということだ。まぁ、当の住宅メーカーは冷や汗がポタリ、ポタリで、と冗談めかしての思い出し笑いだ。
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