アマゾンジャパン、「Alexa」法人向けサービスが住宅分野で拡大
賃貸の無人内覧などを実現、サービス標準化で賃料アップにも貢献
パーソナルAIアシスタントの「Alexa」を日本で初めて法人向けに提供するサービス「Alexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティー)」。2023年12月のリリース後、住宅、特に賃貸分野において採用が拡大している。
同サービスの導入により、Amazonと契約するソリューションプロバイダーを通じてAlexaのテクノロジーをマンションはじめ、高齢者施設、ホテルなどの施設に大規模に一括して導入、管理、カスタマイズすることが可能で、費用対効果の高いサービスを実現しやすくなる。
同サービスを活用する1つの領域として賃貸マンションなどが想定されている。従来のスマートホーム導入物件の多くは、利用までのプロセスとして「ユーザーによる専用スマートフォンアプリのインストール」と「ユーザー認証(登録)」が必要であったが、同サービスではこの手続きが不要となり、よりスムーズに使い始めることができる。同社事業開発本部の澤田大輔本部長は「賃貸物件に付帯する設備として導入することで、入室後すぐにスマートホームサービスを利用することができる」と話す。
賃貸マンションなどを中心に同サービスの実装もスタートしている。大東建託グループのインヴァランスは、同社の管理賃貸マンションである「CREVISTA 品川西大井Ⅲ」に採用した。専用のEchoデバイスが各部屋に設置されており、入居者は入居と同時にスマートホームをはじめとするAlexaの様々な機能を利用し、賃貸管理会社と手軽にコミュニケーションをとることができる。大阪ガスは、同社が管理し主にその社員と家族が居住する実験集合住宅「NEXT21」の一部住戸において、Alexa Smart Propertiesを採用。居住者は各部屋に設置されたEchoデバイスを通じてAlexaの様々な機能を利用できるだけでなく、Alexaスキルの「エネルギーダッシュボード」を利用して電力の使用状況などの情報を得ることができる。
加えて、首都圏を中心に賃貸戸建住宅を展開するケネディクスは、賃貸戸建住宅のブランド「Kolet」に、Alexa Smart Propertiesを標準導入していくことを決定。ソリューションプロバイダーのアクセルラボが設置、設定、導入後のサポートをワンストップで行う。25年までに5000棟を新たに供給する計画だ。
また、ソリューションプロバイダーのリンクジャパンは、賃貸管理ソリューションとして、同サービスを活用した賃貸物件の「スマート快適無人内覧システム」を開発し提供を開始した。内覧者はアプリのダウンロード不要で、送られてきたURLをタップするだけのワンタイムパスで鍵の操作が可能になる。管理会社は内覧時間に合わせてエアコンを自動制御し快適な空間を演出することも可能だ。さらに、入居後の管理も効率化できる。「Echo」を通じて施設などに関する情報を居住者に随時知らせることができる。リンクジャパンによると、スマートホーム導入は物件の新たに付加となり、相場よりも最大1.7万円の賃料アップを実現した事例もあるという。
澤田本部長は、「単に省人化によるコスト削減の効果だけでなく、サービスの均質化、標準化につながる点も高く評価いただいている」と話す。
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