三協立山、ソーラーカーポート架台に本格参入
カーポートメーカーとして機能性と意匠性に強み
先日、エクステリア建材の領域拡大の方向性を示した三協立山が、昨年から特注販売していたカーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」を規格化し、普及を目指す。カーポート製品を主力とするアルミ建材メーカーとして、意匠性、機能性に優れた商品で市場に訴求する。
昨年春より特注品として販売を行っていた両面発電に対応するカーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」を、規格品として販売開始した。
カーポート型の太陽光パネル架台は、野立て架台の応用品が多いが、「エネジアース」は、同社が長くカーポートを製造してきたノウハウを生かし、カーポートとしての意匠、機能を充実した。
意匠については、側枠の役割を兼ねる端部垂木と、前枠、樋による四方枠を標準装備し、太陽光パネルのフレームを四方枠で隠すことで全体意匠の統一感を引き出している。
機能面では、耐積雪150㎝、耐風圧Ⅴo=46m/sの強度を実現。垂木を樋構造とし、太陽光パネルの隙間から浸入した雨水を樋へ流すことで、スムーズに排水する。また、今回から止水材としてアルミ製の目地材(特許申請中)を採用。樹脂やゴムを使っていないため、劣化の心配がなく、長期にわたり排水性を担保できる。また、カーポートの開発時に行っている社内試験の散水実験を「エネジアース」でも同様の基準で行っている。
さらに、自社グループ内で、アルミの材料から最終的な組み立てまで一貫生産を行っており、安定した品質、供給体制を確保している。また、同社は全てのアルミ建材にJIS規格で最も品質の高いA1ランクの表面処理を標準採用しているが、適用環境として「沿岸などの過酷な環境で、紫外線の露光量が多い地域の屋外」が示されており、カーポートにも適している。そのため、生産ラインの変更をせずに厳しい環境に対応できる商品をつくることができ、長期契約を結ぶことが多いPPAモデル(売電事業者と需要者が直接電気の売買契約を結ぶモデル)にも対応可能な15年保証を主要構造部材に行っている。
架台は太陽光パネルのメーカーやサイズを問わず使用できるよう専用部材を開発し、30㎜厚/35㎜厚など様々な条件のパネルを同じ部材で施工できる。
市場からは予想以上の引き合い
災害時への備えとして購入するケースも
開発のきっかけは京都府伊根町からの問い合わせだ。伊根町は海岸に近い立地で、積雪量も多い。こうした気象条件に対応できるソーラーカーポートが当時市場になかった。そこで、カーポートを主力商品の一つに置く同社に積雪150㎝、沿岸地域でも採用できるアルミ製のソーラーカーポートをつくれないかと依頼が寄せられた。
特注品として販売した1年間での導入事例は6件だが、問い合わせの反響が予想以上に大きく、「リリースを出してから、お客様の反応が早く、市場の関心の高さを感じた」(パブリックエクステリア部 森照官 部長)という。
また、災害時にも電力供給が可能という点でも、引き合いがある。導入事例の中に、富山県の一般家庭の住宅に4台用の「エネジアース」を設置したケースでは「エンドユーザーの方が、能登地震を受けて、生活インフラを確保する重要性を痛感したとのことで、有事の際には近所の方と電気を分け合えるよう発電力の大きい4台用を購入された」(森部長)と、災害への備えとしても今後注目されそうな商品だ。
従来品は150㎝積雪仕様をベースに特注を受けていたが、規格品として販売するにあたって、フレームが2本の「耐積雪80㎝仕様(一般地域用)」と、フレームが3本の「耐積雪150㎝仕様(積雪地域用)」の2タイプを用意。他のカーポート商品と部材を共有するなどの工夫で、価格を約3割低減した。また、「耐積雪150㎝仕様」はフレーム本数を減らすことで、基礎施工費の低減や、施工性の向上も実現。従来品発売時には「興味はあるが、特注では価格が高いので規格品になるのを待つ」という声もあったそうで、こうした顧客への訴求力を高める。
今後はエネジアースシリーズを拡大
様々な場所での採用目指す
今後、特注販売をしてきた1年間で築いたパネルメーカー、電気工事会社、蓄電池メーカーなどとの関係性も生かしながら、太陽光発電システムの設計、調達、建設を行うEPC業者と主に普及を推進する。
また、柱を後ろに寄せたタイプのカーポートや、サイクルポートなど「エネジアース」のシリーズで商品拡充を図りたい方針だ。2色から4色へカラー追加も予定しており、「現在は事務所などでの採用が多いが、ゆくゆくは戸建住宅での採用も視野に入れ、様々な場所で展開していきたい」(森部長)と、販売拡大を目指す。
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