アトムリビンテック、高齢化などの対応を加速
非住宅強化でホテル分野にも注力
高齢者施設やマンションで連動引戸の需要が高まっていることを受け、従来品をリニューアルした金具の販売に注力している。また、非住宅展開を強化しホテル分野の商圏獲得を目指す。
アトムリビンテックは、「裾野の広い商品開発と新たな営業戦略の推進」を基本方針に掲げ、内装金物において市場ニーズに応える“ものづくり”を推進している。
近年、高齢化がますます進行し、高齢者施設やマンションを中心に連動引戸の需要が高まっている。
マンションでは、建物とその居住者の高齢化による「2つの老い」が深刻な問題となっている。連動引戸は、1枚目の扉を操作するだけで2枚目、3枚目の扉も連動して開閉できる。つまり、扉1枚分を動かす力で複数の扉を同時に動かせるため、力が弱い高齢者でも簡単に扉の開閉ができる。また、開口時に複数枚の扉を1箇所に束ねることができるため、大開口が実現可能。車いすなどの利用者でもスムーズに移動できる。こうした利点から、高齢者がいる空間でも安心して使用できるとして人気を集めている。
このほど、東京・新橋のアトムCSタワーで開催した春の新作発表会では、従来品の連動引戸金具「SU-101」をリニューアルし、昨年末に発売した「SU-202」を目玉商品として紹介した。
これは、扉に取り付けることで2枚以上の扉をシンクロ連動引戸として操作できるようにするもの。ワイヤーシンクロユニットを搭載しており、連結ジョイントを組み替えることで、左右勝手にも対応する。
最大の特徴は、扉上部に直付けできる点だ。従来販売していた「SU-101」は下荷重の製品であり、連動機能自体は「SU-202」と同じだが、取り付け時に扉本体を加工して金具を埋め込む必要があった。しかし、框戸やガラスのスリットが入った扉などは加工が難しく、採用できないケースがあった。そのため、「SU-101」を使用できる扉のデザインに限りがあったが、「SU-202」は直付けできる上吊りタイプとしたことでその課題を克服した。
また、扉への加工が不要なことから施工性が飛躍的に向上し、設置にかかる作業時間も短縮できる。加えて、上吊りタイプとすることで足元のレールが不要になり、段差がなくなるほか、ソフトクローズ吊り車を併用することで安全性をさらに高めることができる。
経営企画室の矢島吾郎室長は、「『SU-202』は直付けできる上吊りタイプという利点を生かし、連動引戸の採用を広げる一助になるよう今後も拡販に注力する」と話す。
ホテル分野への注力で家具メーカーと連携
コロナ禍が収束を迎え、インバウンド需要の増加に伴ってホテルの増改築は全国各地で増加傾向にある。非住宅展開をさらに強化するため、こうしたホテル需要の取り込みも目指す。
内装金物以外の商材を取り扱うことでホテル向けの空間提案を進めていく方針だ。具体的には、家具メーカーなどと提携してヘッドボードやワイヤレス充電テーブル、テレビ掛けといった幅広い商材を仕入れ、同社で取り扱っているクローゼット用の上吊り金具などとセットで販売する。セット販売により全体の採用数を増やし、売り上げ拡大につなげる。
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