オフグリッドのトレーラーハウス実用化へ開発が加速
インフラ未整備のリゾートエリアで宿泊事業を視野
オフグリッドのトレーラーハウスの実用化に向けて開発の動きが活発化している。車検対応のトレーラーシャーシを利用するため自由に移動可能で、車両および車両積載物であるため、建築物に伴う許認可も不要となる。インフラ未整備の自然豊かなリゾートエリアでの宿泊事業の展開などをもくろむ。災害時・緊急時の新しい応急仮設住宅としての活用も視野に入れる。
PLTの総力をあげて電力オフグリッドに挑戦
プライム ライフ テクノロジーズ(以下PLT)とミサワホームは、栃木県那須郡内の遊休地活用を目的としてLIFULL Financial、藤和那須リゾートを含めた4社によるオフグリッドグランピング施設「Miwatasu NASU」で、系統電力に頼らず自立可能なオフグリッドの技術実証を目的に、ミサワホームのミサワユニットモビリティ「ムーブコア」にオフグリッドシステムを実装し、電力オフグリッドの実証実験を2024年4月から開始した。
「ムーブコア」は、南極の昭和基地の建物建設をサポートするなかで着想を得て開発された。構造体である木質パネルは、住宅と同じ品質・同じ工場ラインで製造、同じように組み立てられる。耐震性能(耐震等級3)や、断熱性能(UA値0.59)、遮音性能(遮音等級D‐35)など住宅品質の優れた居住環境を備えるトレーラーハウスだ。今回の実証実験では、「ムーブコア」2台をL型に連結。新たに開発した二重ファスナーでユニットを連結し断熱性能を確保する。それぞれの屋根には薄膜軽量の太陽光発電システム(1.7kWh)を搭載。太陽光で発電した電力はパワーステーションを介して親ユニット側に設置したパナソニック製V2Hシステムに蓄電する。さらにトヨタ自動車製の電気自動車(BEV、71kWh)からV2Hスタンドへ余剰電力を活用することも可能。これらの電力をパナソニック製HEMSシステム(AiSEG2)でコントロールする。将来的には水循環対応も視野に入れており雨水収集用樋も設置している。実証実験では、季節ごとのエネルギーデータの計測に加え、23年度に実施した通年の電力シミュレーションとの比較分析を行う。寒冷期(12月~1月)における電力オフグリッド率とBEVによる押上効果を測定。電力オフグリッド率100%のための設備仕様の条件設定などを検討する。
PLTの白浜一志技術企画推進部長は、「一般家庭での電力消費を想定したシミュレーションではオフグリッド率は81%。今回は標高が高い場所で1年かけて実証データを得ていく。居住場所を選ばない暮らしの提案につなげたい」と話す。
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