2024.4.3

YKK/YKK AP、YKKグループ経営方針説明会を開催

AP事業は樹脂窓、木製窓の提案を本格化

YKKグループが経営方針説明会を行った。AP事業は木製窓や樹脂窓の新商品提案に力を入れる。ファスニング事業では、環境配慮商品の開発やアジア圏への設備投入による基幹商品の競争力強化を狙う。

YKKグループの23年度経営推定連結業績は、売上高9233億円(前年比3.4%増)、営業利益506億円(同90.5%)の増収減益。24年度は市場の回復を見込んで売上高9882億円(前年比7.0%増)、営業利益628億円(同24.1%増)の増収増益を計画する。

YKK の猿丸雅之代表取締役会長

AP事業については、3省連携の補助事業による省エネ改修需要の高まりや、住宅事業の高断熱窓化、ビル事業での受注拡大などが起因し、23年度の業績は売上高5399億円(前年比6.2%増)、営業利益250億円(同40.4%増)を推定する。これを受け、24年度は売上高5779億円(同7.0%増)、営業利益276億円(同10.3%増)を計画する。「ハウスメーカーやビルダーの差別化提案として断熱等性能等級の上位等級へ向けた動きが盛んになっており、樹脂窓の出荷が好調で、樹脂窓全体の出荷量は前年比約10%増の伸び。なかでもトリプルガラス仕様のAPW430は同30%増程度まで出荷が伸びている」(YKK AP魚津彰社長)と、樹脂窓を含めた高断熱窓の提案を強化する。例えば、分譲住宅向けに、規格品ではない形で樹脂窓を用意していく。カラーやサイズなどを絞って生産方法を工夫することで価格を抑える予定で、今年秋にも市場に投入したい考え。APW430には、高所用すべり出し窓などを追加する予定で、家一棟のトリプルガラス化を推進する。

木製窓については、今夏に、住宅用では大開口窓とFIX窓、ビル用で5階程度までの物件に設置できるものを発売予定。ヒノキの集成材を使用し、外側はアルミの押し出し材でカバーする。トリプルガラス仕様で、価格はAPW430の2倍程度を想定している。将来的には価格をAPW330の2倍程度に抑えた木製窓も販売したいとし、材料の検討などを進めている。また、21年より木製内窓で行っている工務店や建具事業者への技術支援や部品の提供などの取り組みを、新商品の発表後には外窓でも行っていきたいとした。

同社は日本の住宅市場が厳しい局面を迎えるなか、海外での事業拡充にも力を入れる。北米は金利の高止まりの影響で販売が低調となった一方で、中国では中級市場の新規顧客開拓による販売増、インドネシアではノックダウン商品の拡販や新規チャネル開拓による販売増とアジア圏は比較的好調に推移しているといえる。24年度は、住宅については昨年12月に完成した北米のメーコン工場の稼働効果や、台湾における高付加価値商品のフルモデルチェンジ、インドネシアでのカーポート、玄関ドアの発売などによる事業拡大を狙う。

一方、ファスニング事業は、ロシアのウクライナ侵攻や、中東情勢の悪化などの地政学リスクの顕在化により世界的なインフレが起こり、縫製品への消費が減少したことが影響し、23年度は売上高3816億円(前年比0.3%増)、営業利益292億円(同33%減)の増収減益となった。24年度の計画は、売上高4072億円(前年比6.7%増)、営業利益412億円(同41.0%増)を目指す。
サステナビリティを中心とした顧客ニーズを実現する新商品開発や、これまでの1アイテム1機種による生産体制から方針を転換し中国/アジアの市場特性に応じて個別開発した設備を現地導入することによる生産性の向上に取り組む。組織体制では、新たに「グローバルブランド戦略推進室」と「デジタル業務推進室」を設置し、グローバル規模でブランド価値を向上し、業務を強化する。