さらなる安全・安心のために耐震性能の実測をスタンダードに

M’s構造設計 代表取締役社長 佐藤 実 氏

能登半島地震の影響もあり、住宅の耐震性能を巡る議論が再び活発化してきている。こうした中で構造塾を主宰するM’s構造設計の佐藤実社長は、「耐震等級3にプラスして、耐震性能実測を当たり前にすべき」と主張する。

M’s構造設計 代表取締役社長 佐藤 実 氏

──耐震性能を実測するとはどういうことなのでしょうか。

住宅の性能値については、実際に完成した建物で実測をすることができないものが多い。現時点で実測することが一般化しつつある性能値は、気密性能くらいではないでしょうか。しかし、実測可能な性能値は気密性能だけではありません。耐震性能についても、微動探査という技術を活用すれば実測することが可能です。

建築物では、人間が感じないくらいの揺れが絶えず発生します。その揺れの固有周期を実測するのが微動探査です。

高性能な微動計を用いて、建物と地盤の固有周期を計測します。そのデータから、地震が発生した際の建物の揺れやすさを把握していくのです。

建物の揺れに対する耐性は、地盤の影響も大きく受けるので、地盤と建物の固有周期を計測することも重要です。

建物の床面の四隅に微動計を設置し、揺れ方の違いを計測し、建物の剛心を実測することも可能です。剛心とは、建物が変形に対して抵抗する中心点です。重心が重さの中心であるのに対して、剛心は堅さの中心とも言えます。一般的には、建物の重心と剛心が近いほどバランスが良いとされており、耐震性能も高いと考えられます。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。