何が生まれ、何が変わった?/先達の熱き想い

何が生まれ、何が変わった?

今号は我が創樹社の創業40周年の記念号。怠惰で易きに流れがちな我ら凡人にとって節目や記念日が意味を持つのは一瞬なりとも立ち止まり、過去、現在、未来を考えるよすがとなるからだ。古事記にある稽古照今。古に学び、今に照らし、現在の指針を見い出したい。

ハウジング・トリビューンを引っ張り出して眺めたとき、気がつくのはやはり「住まいとは何か」を自問自答しながらの試行錯誤の歴史ということだ。戦後の圧倒的な住宅不足を背景に大量生産を可能とする工業化工法の開発・普及がプレハブ住宅を軸とする住宅産業を誕生させた。だが、実際は労働力不足、人手不足に対応するはずの期待の工業化住宅は思うほどのコストダウンは実現できず、むしろ価格高騰が問題になった。米国などとの価格差が指摘され、建設省は実態調査のため10数人からなる調査団を米国に派遣したほど。その結果は「やはり日本の方が3割ほど高い」。政府はハウス55技術開発コンペのように500万円という目標数字を提示しての技術開発を促す。さらに1992年の新経済5か年計画では住宅取得の指標として“年収倍率5倍”も打ち出された。だが、昭和40年代初めに一世帯一住宅が実現し、戦後の住宅不足問題はほぼ解決、住宅市場は量から品質・性能への傾斜を強めていく。政府も品確法による住宅性能表示や200年住宅とも言われた長期優良住宅、さらには“生活”というソフトの視点の住生活基本法も。性能への流れは現在の省エネルギーなど地球環境問題への対応と続いている。価格の論議は表舞台から消えた。


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