木材調達のキャッシュフローを理解しよう 木造化推進の条件整備につながる

利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。

先行発注で納期に余裕を持たせる

新築住宅の需要が激減することが確実視される中、公共建築やオフィス、店舗など非住宅分野で木造化を推進することが期待されている。となると課題になるのが材料の調達だ。

一般的に流通しているサイズの材料を使うのなら特段の問題はない。だが、例えば、広々とした事務室を作ってスパンを飛ばそうということにでもなれば、特殊な長さの材料が必要になり、調達難易度が一気に増す。

これは戸建て住宅の場合でも同じだが、非住宅案件の場合は建物の規模が大きな場合が多く、こうした課題に直面する可能性が高くなる。太くて長い、そして真っ直ぐな丸太が取れる木はそう多くはない。ここ何十年間か林業の不振が続いているために山の手入れが滞っていることも、材料調達を難しくさせる一因となっている。

こうした資源事情については、最近はかなり理解されるようになっていて、材料だけを先行発注して調達期間に余裕を持たせたり、一般流通サイズの材料を使うことを前提に建築計画を立てたりといった対応策が採られるケースが公共案件を中心に増えている。

納期に余裕があれば、材料を選ぶ時間が生まれるし、製材加工・乾燥にも時間がかけられる。製材してみたら材質に難があることがわかったり、乾燥機に入れても十分乾かなかったりといったトラブルが万一発生しても、リカバリーに動くこともできる。一般流通材でも量が多くなれば揃えるのは大変だが、集荷に時間がかけられるのならスムーズに調達できるだろう。

だが、それでも見落とされがちな問題がある。それはキャッシュフローである。


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