[2024年の注目マーケット]ストック市場 ストック住宅活用で新市場が拡大へ
社会課題の空き家活用、価値加える買取再販が注目
ストック時代が本格化しつつあるなか、さまざまな分野の市場拡大が期待される。
特に対策が急ピッチで進む空き家の活用市場、さらに空き家や中古住宅に価値を与える買取再販市場が急拡大しそうだ。
住宅市場が成熟期を迎え、今後、ストック市場が加速度的に拡大していくことは間違いない。人口や世帯数が減少するなか、新築市場はシュリンクしていかざるを得ず、ストック数は世帯数を大きく上回り、その活用は必須となっている。言い換えれば、ストック市場を住宅産業の大きな柱として育てていくことが急務ともいえる。
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、平成30年の住宅ストック数は約6240万戸、既存住宅の取引戸数は16万戸で新設住宅着工戸数に対する割合は14.5%だ。これに対して、米国は534万戸、81.0%、英国は100.8万戸、85.9%、フランスが97万戸、69.8%で、いずれも日本を大きく上回っている。
2021年に見直された住宅生活基本計画において、2025年までにリフォーム市場を現状の7兆円から12兆円に、既存住宅流通市場を4兆円から8兆円にまで拡大させ合計20兆円の市場にすることが目標として盛り込まれた。2012年に国土交通省が発表した「中古住宅・リフォームトータルプラン」では、2020年までに中古市場を倍増させ20兆円規模のマーケットを形成することが掲げられた。この目標は達成されなかったが、新たに見直された住宅生活基本計画では、目標年次が2020年から2025年まで伸びたが「市場規模20兆円」という目標は継続させた格好だ。
膨大な数のストックをどのように生かし、継いでいくか。そこに新たな市場が期待できる。その代表例がリフォームだ。築年数を経たストック住宅は、今の時代が求める性能を満たしてはいない。流通させるにしても耐震や省エネなどを現在の住生活に必要な、さらには今後も長く使い続けられるような性能に引き上げることが求められる。国土交通省の資料によると、2018年時点で人が居住している住宅ストックが約5360万戸存在している。しかし、国が定める現状のバリアフリー・省エネの基準をいずれも満たしているものはわずかに約230万戸しかない。こうした住宅ストックの質を向上していくためには、2040年までに年間150万戸程度の新築・リフォームが必要になると国交省は試算する。ただし、空き家を増加させないためには除去が必要であり、150万戸のうち新築100万戸とすると、115万戸程度除去しなければ空き家が増加する。そう考えると150万戸のうちリフォームによって性能向上を図る建物が大部分を占めるという状況を生み出していく必要がある。こうした状況が実現できれば20兆円という市場規模は無理な目標ではなくなると言えるだろう。
今、このストック住宅市場が大きく動き始めている。特に2024年に市場拡大にさらに加速がつくとみられるのが、空き家市場と買取再販住宅市場だ。
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