大和ハウス工業、27年に木造で分譲住宅7000棟
間接費抑え住宅事業利益率8%へ
注文住宅で培ってきた設計力を生かし、また、ZEH水準の基本性能、長期保証などを標準化し、大手ハウスメーカーだから実現できる分譲住宅を強化する。2027年に木造による分譲住宅7000棟の販売を目指す。
住宅の建築工事費は右肩上がりで上昇しており、2022年度は最高水準となった。住宅着工統計によると、持家(注文住宅)は2021年12月以降22カ月連続で前年比マイナスの状況が続いている。住宅価格高騰により、望むクオリティの住宅が建てられない、あるいは家を買いたいけれど、買い控えようと考える住宅購入検討者が増えていることがうかがえる。こうした「住宅価格の高騰」という社会課題に応えるため、大和ハウス工業は、「Ready Made Housing.(レディ メイド ハウジング)」というメッセージで、分譲住宅シフトの方針を打ち出した。永瀬俊哉 取締役常務執行役員 住宅事業本部長は「注文住宅と変わらない高い設計力と、断熱性や遮音性などが高い建物の品質、安心の長期保証、そしてアフターサポートを叶えながら、価格以上の価値を目指した良質な分譲住宅を提供していく」と話す。
木造分譲住宅の新商品を開発
鉄骨と同じモジュールを採用
木造の分譲住宅専用商品「Comfort Wood」を新たに開発、「シンプル」と「デコラティブ」の2タイプの外観バリエーションを用意した。現時点で同社の戸建住宅は、鉄骨のプレハブ住宅がメインであり、木造の割合は8%ほどだが、国が進める木材活用拡大、木造化推進の動きに合わせ、分譲住宅事業において木造の割合を飛躍的に高めていく考えだ。注文住宅で展開する鉄骨造のプレハブ住宅と同じ910㎜のモジュールを採用。工事や住宅設備の調達などで、鉄骨造の仕組みを生かすことができる。同社の鉄骨プレハブ住宅を建設する協力工事店の中には、木造を手掛ける事業者も多く存在するため、まずは既存の協力工事店に木造分譲住宅の建設を担ってもらう。また、「Comfort Wood」は、オープン工法の在来軸組工法の住宅であるため、全国どの工務店でも建てることができる。「生産体制の整備も重要と考えている。半年以上前から全国の工務店に協力してもらうためにあたり始めている。木材調達については商社2社に分担してもらい、プレカット工場から構造材を現場に入れる仕組みを構築している」(永瀬常務)。
同社の2023年度の分譲住宅の販売実績は1571戸。これを2025年度には約5000戸、さらに2027年度に約7000戸へと急拡大させる計画だ。一方で、2023年度の請負(注文住宅)の販売実績は4191棟。これを2025年度、2027年度に3000棟という一定の数を維持し、分譲、請負の合計で2027年度に販売棟数1万棟を目指す。「現在は、当社が販売する戸建住宅のほとんどは自由設計の注文住宅であり、木造費比率は8%ほどだが、将来的に戸建分譲7000戸の全てを木造に、木造比率を7割にしたいと考えている」(永瀬常務)。2023年3月期の戸建住宅の販売戸数4191戸のうち約半数は売建が占めているが、今後原則、売建は縮小し、建売で販売していく計画だ。
規格住宅を拡充
注文住宅の7割に
一方で、従来の自由設計商品に加え、規格住宅商品を充実させ、注文住宅のテコ入れも図った。間接コストを抑え、リーズナブルな価格帯を実現した規格商品「スマートセレクション」300プランと、スマートセレクションをベースに建物外周を変えず、間取り変更を行えるセミオーダー商品「スマートデザイン」を2023年10月に発売した。スマートセレクションで自由設計と比べて販売価格を14%~18%、スマートデザインで11%~15%抑えられる。10月の注文住宅全体における販売比率は約1割で、間取り変更を希望する顧客が多くスマートデザインのニーズが高いという。「スマートデザインで受けた間取り変更などのニーズは、スマートセレクションに反映してプランを増やしていく。将来的には自由設計30%、スマートセレクション70%の比率にし、できるだけ手間のかからない販売の仕方、間接費を抑え経営できる体制に変えていきたい」(永瀬常務)考えだ。
また、注文住宅においても、木造強化の一環として新商品「xevo BeWood」を2023年10月に発売した。同社オリジナルの構法を採用した木造住宅で、邸別の構造計算を行い、幅4間(壁芯~壁芯で7280㎜)の大開口を実現する。付加価値を高めた分譲住宅としても展開していく計画だ。
同社戸建住宅事業の2023年度通期の業績見通しは、売上高9000億円(うち海外4321億円)、営業利益340億円(同243億円)、営業利益率3.2%。国内において収益拡大に向け分譲事業強化を推進することで、2026年度計画で、売上高1兆2500億円(同7300億円)、営業利益1000億円(同750億円)、営業利益率8.0%を目指す。
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