[2023年の重大ニュース]建築費4000万円を突破
住宅価格上昇が止まらず注文住宅が苦戦
ハウスメーカーの分譲、賃貸の販売は好調
2023年は、資材高騰に伴い住宅価格の値上がりが続いた。住団連の調査によると注文住宅の建築費は初めて4000万円を突破、注文住宅の苦戦が続く。一方で、賃貸、分譲住宅を強化する動きが目立った。
2023年に入りウッドショックは解消されたが、異常なスピードで円安が進む。2022年3月9日までほぼ1ドル=115円台だったものが、2023年10月時点で149円台となっている。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は「日本の輸入価格が高騰しているのは、基本的にアメリカのインフレとウクライナ危機によって原油などの原材料価格が高騰しているという海外要因による。しかし、円安がそれに拍車をかけていることは間違いない」と指摘する。
こうした中で住宅価格の上昇が続いている。(一社)住宅生産団体連合会がまとめた「戸建注文住宅の顧客実態調査」(2022年度)によると、全体の住宅取得費(土地代を含む)は前年度比587万円上昇の6370万円で、8年連続で過去最高を更新。初めて6000万円を突破した。このうち、建築費は408万円上昇の4224万円で15年連続の上昇で過去最高値となり、注文住宅4000万円の時代に入った。住宅の延べ床面積は123.6㎡で、昨年度より0.9㎡縮小。2015年度以降縮小傾向が続いている。平均建築単価は34.2万円/㎡で、2021年度より3.6万円上昇、2015年度以降上昇傾向が続いている。
一方で、国土交通省が公表する2022年度の住宅経済関連データからは、住宅一次取得世代である30歳代の厳しい所得・雇用環境がうかがえる。国税庁「民間給与実態調査」によると、平均年収は、30~34歳男性は、1998年の497万円から、2020年の458万円と7.8%減少、35~39歳男性は、1998年の578万円から、2020年の518万円と10.4%減少している。
賃金は上がらない、一方で住宅価格は上昇を続ける中で、住宅購入へのハードルは高くなり、商談の長期化、あるいは、購入を先送りする、断念するといった判断をせざるを得ないケースが増えてきているようだ。
特に持ち家(注文住宅)市場の冷え込みが深刻化している。令和5年9月の建築着工統計調査によると、新設住宅着工戸数は前年同月比6.8%減の6万8941戸、持ち家は同12.3%減の1万9527戸、22か月連続の減少となった。
(一社)住宅生産団体連合会の「経営者の住宅景況感調査」においても、2023年第2四半期(7~9月)の注文住宅の実績は、受注戸数でマイナス57ポイント、受注金額でマイナス31ポイントとなった。戸数・金額ともに8期連続のマイナスとなり、注文住宅の受注は依然厳しい状況にある。「展示場来場減・部資材価格高騰の影響で受注マインド回復に至らず」、「前年は値上げ前の駆け込み受注があったことも要因」、「一次取得客へ提案するための用地の不足」のようなマイナス面のコメントが多かった。第3四半期(2023年10月~12月)の見通しについては、受注戸数マイナス20ポイント、受注金額プラスマイナス0ポイントとなり、戸数は前期のプラスマイナス0ポイントから再びマイナスの見通しとなった。
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