“アップサイクル建材”の開発が加速

社会課題の解決で脚光

SDGsESGの達成に向けて「アップサイクル建材」の開発が加速している。食品廃棄物や廃棄衣類など、社会課題となっているものを活用した製品が続々と登場し、環境貢献の面で建材選びに新たな選択肢が生まれつつある。

近年、SDGsESGの観点から持続可能性の実現が様々な業界で求められており、廃棄されるはずのモノに新たな価値を付与して生まれ変わらせる「アップサイクル」に注目が集まっている。

住宅業界でもこうした資源の有効活用は当たり前になってきており、「アップサイクル建材」の開発が活発に行われている。

さまざまな資源がアップサイクルされているが、注目されるのが“衣”と“食”だ。「衣・食・住」のサイクルが回り始めているのである。

深刻な社会問題となっている食品廃棄物。それを活用した製品の開発は、その量を定量的に減らす出口となりうるため、課題解決への貢献が期待できる。

食品廃棄物とは、「食品の製造や調理過程で生じる食用に供することができないもの、食品の流通過程や消費段階で生じる売れ残りや食べ残し等」((一社)食品産業センター)と定義されている。つまり、本来は食べることができるが捨てられてしまう廃棄食品(食品ロス)と、魚の骨などの不可食部位の総称を指す。環境省によると、2018年度の食品廃棄物等の発生量は2531万t。そのうち、焼却・埋め立て処分されている量は1050万tと約4割に達している。当然、焼却処分をすればCO2を排出するほか、埋め立てた場合はCO2の約25倍の温室効果を持つとされるメタンガスが発生するため、その処分の実態が問題視されているのだ。こうしたなか、食品廃棄物をアップサイクルして有効活用しようと、住宅業界では建材メーカーが「アップサイクル建材」の開発を進め、普及拡大に努めている。

コーヒー、卵殻などを原料に
親しみやすさで訴求力を強化

ケイミューの「SOLIDO typeF coffee-リサイクル内装ボード-」は、身近な食材の象徴として使用済みコーヒー豆かすを混ぜ込んだ

ケイミューは、使用済みコーヒー豆かすをはじめ、火力発電所で発生する石炭灰、古紙パルプ、施工現場で発生する外壁の廃材といった多様な廃棄物とセメントを配合した内装ボード「SOLIDO typeF coffee‐リサイクル内装ボード‐」を17年から販売している。原料に占める廃棄物の比率が約60%となっていることが特徴だ。

また、意匠面では使用済みコーヒー豆かすを配合したことで、その赤みがセメント材特有の青みがかったグレー色を緩和し、温かな空間を演出できる。

コーヒー豆かすは、提携する大手コーヒーチェーンから仕入れている。そのコーヒーチェーンでは、1日に25tほどの豆かすが発生しており、一部は肥料などとして活用しているが、それだけでは使いきれないという実態があった。「SOLIDO」は、環境面から世の中でいらなくなったものを原材料として使うことを重視していたため、コーヒー豆かすはまさにそれに合致するものだった。

「コーヒーは最も身近な飲料のひとつであり、その豆かすを使うことで顧客にアップサイクルを分かりやすく訴求できると考えた。また、石炭灰や古紙が建材に使用できることは何となくイメージできるが、コーヒー豆かすには『身近なこんなものまで建材に利用できるのか』ということを周知できる象徴的な役割も持たせている」(ケイミュー・藤田新次執行役員)という。

17年の発売以降、販売数量は右肩上がりで伸長しており、最近では施設や店舗などの非住宅分野での採用も増えてきている。直近の実績ベースでは、非住宅での採用件数は全体の3割を占めるほどになっている。


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