高齢者賃貸住宅がない?!/新たなビジネスモデルを
高齢者賃貸住宅がない?!
政府の住宅施策を見るとき、高齢者に対する住宅確保についてはそれこそアノ手、コノ手の施策が講じられていることに気がつく。いまさらながらの“耳にタコ”だが、超高齢社会は確実に足音を高くしている。2023年時点ですでに65歳以上の人口比率は29%を超えた。さらに、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、全人口の4人のうち1人が75歳以上という「2025年問題」は間もない。いまや世界1の老人大国を独走中だ。こうしたなかで、政府は高齢社会対策法をつくり、住まい確保で高齢者住まい法が施行、「サービス付き高齢者向け住宅」、いわゆる“サ高住”の制度が創設された。25㎡以上、バリアフリー+サービスなど一定の要件を満たしたものを都道府県が登録する賃貸住宅で、23年3月末で8207棟、28万2426戸に達している。いまサ高住は単なる住まいではなく地域包括ケアを担う存在だ。また、住生活基本法の基本理念に基づき住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給をうたう住宅セーフティネット法も施行、高齢者らとくに住宅確保に配慮を要する人たちの入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット住宅)の登録制度に加えて、“居住支援法人”の指定制度も創設されている。まぁ、ざっと見ただけで住宅政策の柱の一つが高齢者住宅対策といって過言ではない。
ところが―である。高齢者向け“賃貸住宅がない―”と嘆きの声が聞こえてくる。政府の様々な高齢者住宅への支援制度があり、住宅着工戸数も賃貸住宅が牽引するほどの勢いをみせ、一方で空き家も増加するなかで、高齢者向け賃貸住宅が“ない”“不足している”というのは一体どういうことなのか。
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