中央住宅、さいたま市で自然と食をテーマにまちづくり
富山県の市場と連携し、農家と生活者を結ぶ
富山中央青果と連携し、富山県の野菜生産者と居住者を結ぶまちづくりを進めている。リモートによるワークショップやSNSによるイベントを計画、町の付加価値として提案する。
ポラスグループの中央住宅が埼玉県さいたま市で分譲中の戸建住宅団地「結美の丘 URAWA」で、富山県の野菜市場である富山中央青果と連携した「きときと 未来PROJECT」を進めている。
全17棟からなる同団地は、「“自然”と“食”を通じて育まれるコミュニティ。」をキーワードに、居住者の広場となる街区内6m道路や、食育体験ができるアイテム、豊かな植栽計画などをデザインしたまちづくりを行った。住宅は、多彩な暮らしにフィットする「ステージリビング」と「フリールーム」という2つのプランに、環境に配慮した素材を組み合わせている。例えば、使用済みのコーヒー豆を再利用した内装材「SOLIDO」や、新潟県産の杉の端材を有効利用した内装パネル「木もれ美」などを採用している。
このまちづくりで進められているのが「きときと未来プロジェクト」だ。富山県の青果市場である富山中央青果と連携、居住者と農家をリモートでつなげ、居住者が安心して野菜を食べられる環境づくり、さらには農業に触れることで環境問題やフードロス問題などに関心を持ってもらおうという取り組みである。
中央住宅は、2020年の市民農園利用権付きの「ハナミズキ春日部・藤塚」(埼玉県春日部市)、2022年の衣・食・住をテーマとした「北浦和みのりプロジェクト」(埼玉県さいたま市)など、“農”をテーマとしたまちづくりの提案を手掛けているが、こうした動きのなかで、富山中央青果の「とやま未来青果塾」の取り組みを知り連携を打診した。
富山中央青果は富山大学と産学連携プロジェクト「とやま未来青果塾」を展開している。生産者と地域の飲食店や消費者をつなぐ販路を開拓、生産者のプロデュースや魅力的な農業づくりを推進し、塾生である農家をサポートする。中央住宅と、とやま未来青果塾とのコラボレーションにより、「結美の丘 URAWA」ではさまざまな付加サービスが提供される予定だ。「富山マルシェ」は6m道路を生かしたイベントで、富山県産の野菜を配布、リモートで栽培方法やお勧めの食べ方などのレクチャーを行う。全邸宅に採用した高床式の「ベジトラグ」を使ってのリモートワークショップを年3回開催、農家から提供された苗を実際に植え、育成のアドバイスを受けることができる。また、入居後一年間、季節の野菜5種類が年3回届き、興味を持てばネットから購入が可能だ。さらにLINEのチャットを活用し「結美の丘URAWA」でグループを作成、さまざまな情報を発信するほか、直接、農家とやり取りすることもできる。「農家さんとのコミュニケーションを通じて、第2のふるさとづくりにまでつながれば」(戸建分譲設計本部 設計一部 営業企画設計課・小瀧愛美氏)と可能性は広がりそうだ。
8月に販売を開始、現在17棟中7棟が販売済みで、来年3月に入居開始予定。「きときと未来プロジェクト」のサービスは6月頃に開始予定だ。
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