三菱地所ホーム、空間木質化リフォームの新商品を開発
木の塊をユニット化、間取りにも革新
空間木質化のリフォーム新商品〈KIGOCOCHI(キゴコチ)〉の販売を開始した。家の中に、木の塊の「コア」を機能的にレイアウトすることで居心地の良さを追求、従来の間取りに捉われない回遊性の高い空間を実現する。
近年、環境問題を背景に、サステナブルな素材である木や木造建築に関心が集まっている。同社は長年にわたり木造注文住宅をつくり続けてきた実績などを生かして、住宅、非住宅を問わず、木造化、木質化の提案を強化する。2022年7月には、「木」に関心を持つ様々な関係者をつなぐプラットフォーム「KIDZUKI(キヅキ)」を立ち上げた。2023年4月には、「都市木造推進事業部」を新設。5階建て中層建築の実現を目指した技術開発、耐火建築仕様の整備を進めている。
今回の空間木質化の新商品〈KIGOCOCHI〉は、「KIDZUKI」の取り組みを進める中でトラフ建築設計事務所、愛媛県で木材業を営む共栄木材との出会いがあり誕生した。〈KIGOCOCHI(キゴコチ)〉は、「KI=木」から得られる「IGOCOCHI=居心地」のよさを追求することから名付けた。コンセプトディレクターを務めたトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏は、「表面的に木を使用するのではなく、家の中に木の塊、コアを機能的にレイアウトし、人間が木に囲まれたり、大木に寄りかかったりするときに得られる居心地の良さを再現することで、居住者向けに『木と共生する暮らし』を提供したい」と話す。
暮らしに必要な主要機能を持つ
木の塊のコアを配置
〈KIGOCOCHI〉では、「水回り」「キッチン・家具・スタディスペース」「玄関・寝室」で構成される3つの「コア」を配置するという新しい発想を取り入れた。第一弾として、同社グループのリフォーム事業ブランド「三菱地所のリフォ―ム」において、木の可能性を追求したマンション木質リフォーム商品を提案した〈KIGOCOCHI〉ショールームを横浜市みなとみらいにオープンした。
「水回り」のコアには、ユニットバス・脱衣所・サウナといった水回り機能を集めた。素足が触れて気持ち良い名栗加工の木材を脱衣所の床材として採用。また、コアの外側にはアルコーブ(廊下や居室にあるくぼみ)の中にソファベンチを設けることで「木の洞穴」に籠るような心地よさを再現した。「キッチン・家具・スタディスペース」のコアは、3方向からアクセスできるキッチン、パントリー、洗濯といった家事スペース。樹木から伸びる枝木のようにコアから庇が伸び、その真下にダイニングスペースを配置した。書斎にもなるデスクも組み合わせた。「玄関・寝室」のコアは、「木のトンネル」状とすることで、扉を開けた瞬間から木の心地よさに包まれるように工夫した。ベッドルームは小上がりとなり、下部は収納スペースとして活用可能で、就寝前は縁側のように腰掛け、読書や会話をする心落ち着ける居場所にもなる。
各コアの壁・天井は、国産ヒノキ合板で仕上げた。規格サイズである3×6判を効率的にレイアウトし、コアの開き戸は外側に枠を設けないことで壁面と一体化した。木の塗装については、「クリア」と「マホガニー」の2種の自然由来の塗料から選ぶことができる。
さらに、木の温もりを感じ、より落ち着ける場所とするためのライティングも追求した。BRANCH LIGHTING DESIGNの中村達基氏が木の素材を引き立たせる居心地のよい照明計画を手がけ、コードレス照明を自由に持ち歩き、自分だけの居場所を見つけられるような仕掛けなどを盛り込んだ。
柔軟で回遊性の高い空間に
〈KIGOCOCHI〉は、暮らしに必要な主要機能を持つ木の塊「コア」を組み合わせ、レイアウトすることで、狭い廊下と閉じた個室といった都市部の住宅空間の従来の間取りにとらわれず、柔軟で回遊性の高い空間を実現し、様々なレイアウト提案を可能にする。主なレイアウトパターンとして、TYPE A、TYPE B、TYPE Cの3つを提示した。TYPE Aは、間取りの外側にコアを配置し、住居の主要機能を分散させたレイアウトタイプ。部屋にも通路にも属さない書斎や洗面、ソファベンチなど、コアとコアの間に生まれる空間を有効活用し、暮らしの中に新たな居心地を加える。TYPE Bは、間取りの中心部にコアを集約し、住居の主要機能を1か所に集中させるレイアウトタイプ。コアの周囲が広々として回遊性が高まり、多様で楽しい動線を生み出す。空間の外周に採光窓の多い間取りに適している。TYPE Cは、フルリノベーションだけではなく、木のコアをキッチンや水回りなどに部分的に導入するもの。マンション以外に、戸建てやオフィスなどでも導入しやすい。
通常、約70㎡のマンションでフルリノベーションの価格の相場は約1500万円だが、同面積でマンションフルリノベーションを行う〈KIGOCOCHI〉の価格は約2500万円。「居心地のよさを追求するためにマテリアルとディテールにこだわりぬいた。様々な機能を併せ持つコアユニットにより、追加で家具をそろえる必要はほぼない」と適正価格であることをアピールする。
カスタマイズの自由度の高さを生かして、戸建住宅、オフィスのリフォーム提案も行っていく。「初年度で最低でも10件の〈KIGOCOCHI〉のリフォーム実績を残したい」(同社)考えだ。細谷惣一郎代表取締役社長は「木造注文住宅のノウハウ、20年以上にわたるリフォーム事業の実績、三菱地所ハウスネットを含めたグループの総合力、こうした我々の強みを生かし、木にこだわり、我々だからこそできるリフォームを提案していきたい」と述べた。
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