住宅という「人生インフラ」を担う人材を育てながら10兆円企業への道を整えていく
大和ハウス工業 代表取締役社長 兼 CEO 芳井 敬一 氏
創業100周年となる2055年までに10兆円企業になる──。創業者である石橋信夫氏の遺志を引き継ぎ、成長を続ける大和ハウス工業。今や住宅メーカーという業態に捉われない事業体へと進化した同社は、「生きる歓びを、未来の景色に。」という新たなパーパスを打ち出した。同社の芳井敬一社長は、このパーパスにどのような想いを投影しているのだろうか──。
──新たなパーパスを策定した狙いは。
まず言っておきたいことは、当社には創業以来、継承してきた企業理念(社是)の他、経営ビジョン、社員憲章というものがあります。今後もこうした創業以来の企業理念などを変えることは全く考えていません。大和ハウス工業は一貫して創業者の想いを継承してきた会社であり、その点こそが当社の強みだと自負しています。
新たなパーパスについては、企業理念などを踏まえた上で、創業100周年を迎える2055年に向けて、大和ハウス工業という会社がどこを目指していくのかを明確にするためのものです。
パーパスの策定に当たって、2055年にも大和ハウス工業を支えているであろう若い社員の声を聞くべきだと考えました。私をはじめとして、今の経営陣や管理職の人間は、2055年には恐らく会社には残っていませんから。
2055年に当社を支える社員が、どういう大和ハウス工業を目指し、どのような自分でありたいと考えているのか―。そのことを知るために「“将来の夢”プロジェクト」を実施したのです。
若い社員が「変えていきたい」と考えていることと、先輩社員が「変えるべきではない」と考えていること。その両方を検証しながら、一致性を見出していくことで、会社が同じ方向を見て2055年に進んでいける。そう考えたのです。
声なき声に耳を傾けるための
「“将来の夢”プロジェクト」
──実際に「“将来の夢”プロジェクト」を実施してみて、どのようなことを感じましたか。
サステナビリティ企画部が中心となって社員の声を集め、2055年に向けて大和ハウス工業が果たすべき役割などを議論しました。最終的には4万通以上のアンケートが集まり、1000名超が議論の場に参画しましたが、正直に言うと開始当初は上手くいきませんでした。
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