ものづくり白書 変化の時代にデジタル人材の確保が急がれる

専門高校の教育課程の見直しも

人材不足などの改善にDXの活用が進む。一方で、デジタル技術未活用の会社ではデジタル技術がどんなものか知ること自体が導入への課題となっているなど、デジタル化に対応した人材の確保が急がれる。

少子高齢化による生産年齢人口の減少などにより、人材不足が社会的な問題となっている。建設業では技能者のうち、60歳以上の割合が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%となっており、帝国データバンクの「全国企業別倒産」では、2023年上半期に累計110件の「人手不足倒産」が発生していることが判明した。これは前年同期から約1・8倍の数字で、13年に集計を開始して以降、年半期ベースで初めて100件を超え、過去最多件数を更新した。また、「物流の2024年問題」と言われる24年4月からの自動車運転業務の時間外労働の上限規制は、住宅産業を含めた多くの業界で、納期の遅延などの発生が懸念されている。

こうしたなか、業務改善や省人化の策としてDXに注目が集まる。18年に経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、デジタルモデルを変革するとともに、業績そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。

住宅産業界では、不動産契約がオンライン上で完結できるようになり、住宅事業者における基幹システムをはじめとするDXツールの導入が急速に広がっている。例えば、アイ工務店が提供する工務店経営のプラットフォーム「Ai‐COSS」は、顧客・商談管理から原価、発注、請求、アフターメンテナンスなどのすべての業務をサポートする基幹業務システムなどを揃えており、情報の一元化などで工務店経営のデジタル化を促す。住宅営業においても、安心計画が住宅の提案営業を効率化する「マイホームロボ」を提供している。施主が15問のアンケートに答えると、AIが膨大なプランの中からニーズに合ったものを提案、営業担当者がその中からいくつかを選択すると高画質CGパースやVR閲覧用のQRコードを配置したプレゼンボードが5分で自動作成される。

OFF‐JTで既存人材の教育進む
デジタル未活用企業の意識は低調

しかし、いかに便利なツールがあろうとも、使いこなせなければ意味がない。デジタル化の波のなかで、急速に発達するデジタル技術を活用できる人材が求められている。


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