観光白書 観光DXの推進、高付加価値化で「稼げる産業」へ変革、地域社会に好循環
観光は地域活性化の切り札
2023年3月、閣議決定した「観光立国推進基本計画」では、観光は「成長戦略の柱、地域活性化の切り札」と位置付ける。空き家活用、ワーケーションの普及、農泊推進など、観光コンテンツの充実に向けて、住宅産業のノウハウが求められている。
「観光立国推進基本計画」では、「観光産業は裾野が極めて広く、我が国の基幹産業へと成長するポテンシャルを有する総合産業である。観光産業の付加価値を示す観光GDPは、2019年(令和元年)において我が国GDPの約2%であり、今後、官民一体となって観光産業の付加価値を更に高め、『稼げる』産業へと変革を進めていく必要がある。観光産業が収益力を高め、適正な対価を収受して収益を地域内で循環させ、従事者の待遇改善も図ることが、観光産業に人材を惹きつけ、観光地の持続可能な発展を実現するために必要である」との方針を提起した。
観光白書では「今後、官民一体となって観光産業の付加価値を更に高め、『稼げる』産業へと変革を進め、地域経済への裨益と地域住民の誇りや愛着の醸成を通じて地域社会に好循環を生むことで、地域と旅行者の双方が観光のメリットを実感できる『持続可能な観光』を目指していく施策を展開する必要がある」と指摘する。
同計画では、「国内の観光地では、コロナ禍を通じ、特に地方部に疲弊が見られた。地方の経済や雇用の担い手となるべき観光産業では、デジタル化の遅れに象徴される生産性の低さや人材不足といった積年の構造的課題が、コロナ禍で一層顕在化した」と分析している。こうした課題を踏まえ、観光庁は22年度、観光DX推進などの支援を講じた。DXの推進により、消費機会の拡大や消費単価の向上などを通じた観光地経営の高度化を図るため、デジタル技術を活用したリアルタイム性の高い情報発信による消費・周遊促進、旅行者の趣向・移動・消費データを用いたマーケティングなどに関する実証実験(14件)を実施し、先進モデルの創出に取り組んだ。
また、観光地におけるDX推進による課題解決に向けた検討を行うため、「観光DX推進のあり方に関する検討会」を22年9月に設置し、課題解決の方向性、将来ビジョン、KPI、ロードマップなどをとりまとめた。
住宅産業とのコラボに期待
空き家再生、ワーケーション普及など
「稼げる地域・稼げる産業」への変革、観光地・観光産業の再生・高付加価値化に向けて、住宅産業とコラボレーションできるフィールドも広がりそうだ。例えば、観光庁は、観光産業の革新の一環として、「まちの活力や利便性の向上等を目指す地方都市を中心とした、古民家や空き家・空き店舗のリノベーション等による観光関連施設等の整備について、まちづくりファンド支援事業、共同型都市再構築業務を通じて、金融支援を行う」方針であり、住宅産業のノウハウが求められそうだ。
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