高齢社会白書 高齢者を中心としたまちづくり、住まいづくりへ

地域一帯での環境整備や場づくりが求められる

高齢者の人口が増加する一方で、孤立する高齢者も増えている。
コロナ禍で対面での交流が減るなど環境が変化するなか、地域一帯で高齢者を取り残さない仕組みづくりが求められる。

日本の総人口は、2022年10月1日現在で1億2495万人。65歳以上人口は、3624万人となり、高齢化率は29.0%となっている。21年の平均寿命は、男性81.47年、女性87.57年となっているが、今後、男女とも平均寿命は延びて令和52年(70年)には、男性85.89年、女性91.94年と、女性については90年を超えるとも見込まれている。

こうしたなか、高齢者の暮らしについて考える必要性が生まれている。

世帯形態では、65歳以上の一人暮らしの者が男女ともに増加している。1980年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、20年には男性15.0%、女性22.1%と、40年間で男性は3倍以上、女性は約2倍になっている。孤立死と考えられる事例も多数発生している。東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、21年に4010人で、増加傾向にある。

一方で、65歳以上の者の孤独感について見ると、8.9%が人との付き合いがないと感じることが「常にある」と回答しており、一定数の高齢者が孤独感を感じていることが分かる。

コロナ禍による環境の変化も高齢者のコミュニケーションに影響を及ぼした。内閣官房が21年度に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」の調査結果を見ると、コロナ禍により、人と直接会ってコミュニケーションをとることが「減った」と回答した割合は6割を超えている。そのうち、約3割は直接会わずにコミュニケーションをとることが「増えた」と回答しているが、デジタル機器を使い慣れていない高齢者は、対面でのコミュニケーションが減ったことにより、人とのかかわりそのものが減ってしまった人も多いだろう。

実際に、情報機器を利用しない理由について、15年度までは「必要性を感じないから」との回答が約7割を占めていたが、20年度では「必要性を感じないから」への回答は半数以下となり、「使い方がわからないので、面倒だから」の回答が大きく増加している。こうした高齢者がいかに孤立しない環境をつくるかが求められてきそうだ。

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