【雪害】10年に一度のドカ雪で関東、中部などでも大きな被害が

雪の被害は豪雪地域だけではない

毎年のように人が亡くなり、住家被害が発生する雪害。これら被害のなかには住宅産業界に深くかかわるものもある。今後、気候変動により雪の降り方が大きく変わることが見込まれるなか、地域を問わず冬への備えが求められる。

日本での暮らしでは、地震や豪雨だけでなく積雪にも注意が必要だ。その重さによる家屋などの倒壊・破損は言うまでもなく、雪かき・雪下ろしでの転落、転倒等により毎年多くの人が亡くなっている。社会的にも、倒木などや鉄塔の倒壊によって電線が断ち切られ停電するなどインフラの途絶や交通網の断絶などにつながる。場合によっては広範囲に被害を及ぼす大きな自然災害となる。

積雪地以外でも雪への備えが重要に

例えば、直近では2021年1月7日から、北日本から西日本にかけて日本海側を中心に断続的に強い雪が降った。北陸地方を中心に3時間に20㎝を超える降雪量を観測、新潟県高田では24時間降雪量103㎝と観測史上最大を記録、さらに普段雪の少ない九州や四国などでも積雪となった地域があった。

除雪作業中の事故などによる死者は35人、負傷者は375人に及び、住家被害も全壊1棟、半壊2棟、一部損壊297に達した。こうしたなか秋田県4市2町1村をはじめ、新潟県、福井県、富山県の計15市に災害救助法が適用された。

また、2018年1月22日からの大雪は普段雪が少ない関東甲信地方や東北地方の平野部での積雪で、東京都千代田区で23㎝、宮城県仙台市で19㎝の積雪を観測するなど広範囲での大雪となった。人的被害は死者5人、重傷者19人、軽傷者957人であり、都道府県別にみると負傷者の多くが関東に集中している。重傷者のうち秋田県の2人をのぞく17人が1都6県、軽症者のうち592人が東京都、151人が千葉県、といった具合だ。

首相官邸のホームページでは雪害について発生する事故ごとに事例や対策をまとめている。そこであげられたケースは、①除雪中の事故、②車による雪道での事故、③歩行中の事故、③雪のレジャーによる事故、③雪崩による事故という5つだ。雪害による事故のなかで、死者が多いのは除雪中の事故によるもので、自宅の屋根の雪下ろしや雪かきなどの作業中に発生している。屋根からの転落、屋根からの落雪などであり、特に多雪地域における住宅づくりにはさらなる配慮が必要かもしれない。

また、2018年の大雪では重症者の多くが関東に集中していたことは先述の通りだが、その重傷者の状況をみると、ほとんどが除雪作業中の転倒による骨折。雪に慣れていない地域では、それほどの豪雪でなくとも大きな事故に結びつくということだろう。

「平成26年の大雪」ではカーポート・ベランダが倒壊

この10年間で広範囲で発生した大きな雪害が、2014年2月の「平成26年の大雪」だ。”10年に一度”という強い寒波により全国的に冷え込むなか、西日本から北日本の広い範囲で雪が降った。特に関東甲信地方では大雪となり、関東平野部で30~80㎝、甲信地方で1m以上に達したところもあった。また、近畿・東海地方も南部の海沿いを除きほぼ全域で雪となり、紀伊半島を中心に20年ぶりの大雪となった地域もあった。


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。