【津波災害】東日本大震災を教訓に人命最優先の取り組みが加速

正確な予測が難しい津波の発生

大地震により発生する津波は、これまで幾度となく大規模な被害を生んできた。その発生を正確に予測することは難しく、予想を上回る高さが襲来したケースもある。沿岸部においては事前の対策が必須となっている。

津波は、海底地震など伴って発生する海底地盤の隆起・沈降や海底における地滑りなどにより、その周辺の海水が上下に変動することによって引き起こされる現象。今や「tsunami」は世界共通語として通用するほどになっている。

地震によって発生する津波を正確に予測することは難しく、東日本大震災では当初予測された高さをはるかに凌ぐ例も多くあった。高台に避難したにも関わらず背後から周り込んだ波に流されたケースや、津波が地形を駆け上がり被害を広げたケースもあった。さらに一度だけではなく、第二波、第三波と後から来る波の方が高い場合もあり、波が引いた後に家に戻り再度の波に被害を受けたケースもあった。

国内での大きな津波被害としては、やはり東日本大震災だろう。津波の高さは福島県相馬市で9.3m以上、宮城県石巻市で8.6m以上、岩手県宮古市で8.5m以上、大船渡市で8.0m以上などであり、その浸水面積は561㎢と、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に大きな被害が発生した。かつてないほど巨大な波は、港湾施設、住宅街、農地などを一気に飲み込んだ。死者数(関連死含む)は1万9765人に達しているが、その9割が溺死である。

また、東日本大震災では津波による深刻な二次災害も発生した。東京電力福島第一原子力発電所が津波被害により電源を喪失し核燃料の冷却装置が停止。核燃料が解け落ちる「メルトダウン」が発生したほか、建物上部に滞留した水素により、水素爆発も起きた。これにより、周辺住民には避難指示が出され、震災から12年が経過した今もなお、約3万1000人が避難生活を続けている。


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