(一社)日本ツーバイフォー建築協会、パネル工法で生産・施工システムをさらに進化
法改正に対応し「建築物の木造化」を推進
2023年度総会を開催。2×4工法の利点である合理的な生産・施工システムをさらに進化させるためパネル工法の開発を進める。また、法改正に的確に対応し「建築物の木造化」を推進する。
22年度のツーバイフォー住宅の新設住宅着工戸数は前年度比4.8%の減少で9万2000戸、シェアも減少し10.7%となった。利用関係別に見ると、貸家と分譲住宅のシェアが低下したが、持家は11.7%となりシェアが上昇、これまでで最も高いシェアとなった。池田明会長(三井ホーム社長)は「2×4の性能、品質について高い信頼を得られた結果であると考えている」と述べた。
また、同協会会員への自主調査によると、「住宅用途以外の施設系2×4建築は、性能面のメリットに加え、工期面、コスト面のメリット、さらに環境にやさしい『木の建築』への評価の高まりにより年々、増加傾向にある」(池田会長)。19年度256件、20年度283件、21年度310件と推移する。老人ホーム、デイサービス施設、グループホームなどの福祉施設や、寄宿舎・寮、サービス付き高齢者向け住宅などの居住系施設、保育園、幼稚園、学校といった保育・教育施設、その他、事務所、コンビニエンスストア、店舗、宿泊施設、倉庫、工場など多岐にわたる。これだけ2×4工法がさまざまな建築物に広がっている理由は、近年の耐火構造物としての認定取得の取り組みによるもので、同協会発行の枠組壁工法耐火構造大臣認定(写し)は、累積4296件となった。内訳を見ると最も多いのが3階建てで81%、次いで2階建て15%、4階建て3%、平屋1%、5階建て0.5%、6階建て0.07%と続く。
22年度は、2×4工法の利点である合理的な生産・施工システムをさらに進化させるため、壁・床・屋根パネルの設計・生産・施行に合理化および標準化に向けた各パネルの仕様を決定。また、省エネ化、大規模建築の木造化推進のため、構造・防火関係規定などの法改正に対応するため、分科会で技術基準の整備などを実施した。23年度は、改正建築物省エネ法などへの対応として、「省エネ基準等適合義務化」、「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」、「中大規模建築物の木造化を促進する防火規制の合理化」、「構造計算に係わる告示改正」に関して必要な対策を講じる。また、生産・施工システムの合理化のため引き続き「ツーバイフォーパネル工法(仮称)」の開発を進める。
なお、住宅価格高騰の影響などにより、持家の不振が続く状況について、池田会長は「三井ホームに限れば、全体の販売は前年度比微減で、特に戸建住宅が7%減と厳しい状況だった。4000万円台以上の住宅販売は好調だが、ボリュームゾーンである2000万円~3000万円台の住宅は、資材価格高騰、土地の価格も値上が影響して大きく落とした」と述べた。また蓮井美津夫副会長(イワクラホーム社長、北海道札幌市)は「当社の住宅の販売は前年比で17%~18%減となった。北海道全体で見ても2×4に限らず、戸建は10数%落ち込んでいる事業者が多い。展示場の来場者数も2、3割落ちている。市場には、1年分とも言われる大量の建売住宅の在庫が残っており、今年中には解消されないと見ている。エリア別に見ても総じて厳しい状況が続いている」と述べた。
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