2023.5.31

大日本印刷、プランデータから最短15秒でメタバース用VRを作成

サブスク型のサービスでより使いやすく

大日本印刷は、住宅用プレゼンツールのデータを最短15秒で高精細なVRに変換するソフトウェアのメタバース版の提供を開始した。

大日本印刷では、2022年11月から「DNPバーチャルエクスペリエンスVRプレゼンゲートウェイ(以下、VRプレゼンゲートウェイ)」を提供している。これは、住宅用プレゼンテーションソフトのデータを最短15秒で高精細なVRに変換するソフトウェアだ。

同社はカタログ作成などの分野で、リアル画像と見間違えるほどの高精細なCG作成のノウハウを蓄積しており、その知見を生かしてこのソフトウェアの開発に成功。通常は半日以上かかることもあるVRへの変換が最短15秒で行えるため、顧客との商談中にプラン変更などが生じた場合、その場でVRを再生成することも可能だ。結果として成約率の向上やその後の設計業務の質向上に貢献する。

生成されるVRの精度の高さも特徴のひとつ。まさに「速い、簡単、きれい」を実現したソフトウェアである。

現時点では、DTSの住宅用プレゼンテーションソフト「Walk in home 2022」で作成したデータに対応しており、今後は対応ソフトの拡充も検討していく方針だ。

ハイスペックのPCが不要
いつでも・どこでも使えるメタバース版

VRプレゼンゲートウェイは、高精度なVRが特徴であるため、利用するためにはハイスペックなパソコンを用意する必要がある。事務所内などでの商談であれば問題ないが、例えば客先での打ち合わせには利用できないというケースもあった。

そこで同社では、「速い、簡単、きれい」という特徴に、「いつでも、どこでも」という価値を付与したVRプレゼンゲートウェイのメタバース版を新たに発表した。

メタバース版はクラウド上にプレゼンソフトのデータをアップロードすると、すぐにVRに変換できるというもの。ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなど、ネット環境さえあれば多様なデバイスで利用可能。専用のソフトやアプリも必要ない。

加えて、メタバース版であるため、住宅会社などの営業担当者と顧客が遠隔地で同じVR空間を体感することができる。VR空間をウォークスルーしながら、営業担当者がプランの特徴などの説明を行うといったことが可能となる。

VRプレゼンゲートウェイ スタンドアロン版・メタバース版の違い
最短15秒で高精細なVR画像を作成できる

通常のメタバースの場合、閲覧者がバラバラにVR空間をウォークスルーすることができるが、あえてバラバラに行動するのではなく、同じ画像を共有するようにしている。この点について同社ABセンターXRコミュニケーション事業開発ユニットビジネス推進部の石崎卓氏は、「開発に当たっては住宅会社の方々へのヒアリングを行い、実際の業務に即したシステムにすることを目指しました。営業スタッフの方々がプランの説明を行う際に、VR空間内で別々の場所にいると困ってしまいます。そこでバラバラには行動できないようにしました」と語る。なお、VRを体験するためのURLを顧客に知らせることもできるため、商談後に顧客が自由にプラン内をウォークスルーすることも可能だ。

また、同部の山嵜秀城氏によると、「営業スタッフの方々がよりスムーズに仮契約をとることができ、なおかつその後の最終プラン決定までの打ち合わせを効率化することができるものを目指しました。このソフトを利用すれば成約率の上昇も見込めるのではないかという声もいただいています」という。
メタバース版のVRプレゼンゲートウェイについては、サブスクリプション型で提供するため、初期費用をかけずに利用できる。

モデルハウスなどをメタバース化することで、営業や集客のツールに活用しようという動きが目立ってきているが、VRプレゼンゲートウェイは個別の顧客のプランを最短15秒で手軽にメタバース化することができるだけに、提案力の強化が業務効率化に向けた新たな武器になりそうだ。