最高益続出22年度ハウスメーカー決算

注文苦戦も賃貸、分譲などで収益力強化 金利上昇、米国住宅市況の悪化など不安材料も

2022年度の大手ハウスメーカーの決算が出そろった。
21年度に続き、多くの企業が増収増益を達成、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。
資材高騰などの影響により、注文住宅の苦戦は続くが、賃貸事業や戸建分譲事業の強化などで、収益力を高める動きが目立った。
また、多くの企業が成長エンジンとする海外事業については、米国、豪州を中心に各社各様のスタンスで事業を拡大、安定的な収益モデル確立を目指す。

「資材高騰のビハインドも、戸建、賃貸ともに中期経営計画の計画比で営業利益を上乗せできたことは自信につながっている」と話す積水ハウスの仲井社長

大和ハウス工業の22年度決算(23年3月期)は、売上高4兆9081億円となり、2期連続の増収、営業利益は過去最高の4653億円となり、退職給付に関する数理計算上の差異の影響を除いても3687億円と、2期連続の増益となった。

開発物件売却の前期反動減および資材価格高騰の影響を大きく受けた事業施設事業を除く全セグメントで増益を達成。コロナの影響から回復し、ホテル・スポーツクラブ運営事業で262億円の利益改善があった。

そのほか、米国戸建住宅事業や中国マンション事業を中心に海外事業も増収増益に大きく寄与。また、開発物件売却は順調に進捗し計画を上回った。

積水ハウスの22年度(23年1月期)の決算は、ハード・ソフト・サービスを融合した高付加価値提案などの事業戦略を推進した結果、各ビジネスは順調に進捗し、売上高は2兆9288億円(前期比13.1%増)、営業利益は2614億円(同13.6%増)。過去最高の売上、利益を達成した。

住友林業の22年度(22年12月期)決算は、好調な米国の住宅事業が貢献し、売上高1兆6697億700万円(前期比20.5%増)、営業利益1583億円(同39.2%増)の増収増益で利益は過去最高を更新した。

旭化成ホームズの23年3月期決算は、売上高8592億円(前年度比9.2%増)、営業利益746億円(同5.6%増)、売上高、営業利益ともに2年連続の過去最高を更新、売上高は初の8000億円を達成した。戸建の大型化、賃貸の高付加価値化・大型化を推進する戦略が奏功した。

また、海外事業部門の売上高は、25年度2000億円の目標を3年前倒しで達成。そのほか、不動産、リフォームを含め、すべての部門で増収増益となった。

ミサワホームの23年3月期決算は、売上高4215億円(前年度比6%増)、営業利益166億円(同43%増)と、リーマンショックが起き大きな景気後退があった2009年以降、最高益を達成した。特に首都圏における賃貸事業が好調な新築請負事業をはじめ、ストック事業、街づくり事業、海外事業、それぞれで増収増益となった。

パナソニック ホームズの22年の売上高は3761億円と、コロナ前の2019年の水準まで回復。営業利益は前年比44%増の126億円と、19年の約50億円と比較して大幅増となった。

同社の強みである「多層階」を拡大、住宅だけでなく非住宅にも展開し、店舗併用マンションや宿泊用途のビルなどの受注が好調に推移した。

注文不振で建築請負は苦戦
賃貸や分譲などに活路


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