DXで目指すのは新たなビジネスモデルの構築 業務の効率化によりCS向上とES向上を実現する

座談会「DXが切り拓く未来」

KSKと住宅事業コンサルタントの清水英雄事務所は連携して住宅事業者のDXを通じたビジネストランスフォーメーションを提案している。デジタルツールの導入自体がゴールではない、しかし、新たなビジネスモデル構築の第一歩はデジタルツールの導入から始まる。どのように基幹システムを使いこなしていくべきなのか、KSK・ビジネスソリューション事業部住宅ソリューション営業グループの山口靖営業部長、清水英雄事務所の清水英雄代表取締役、清水大悟マネージングディレクターが語る。

(左から)KSKの山口靖営業部長、清水英雄事務所の清水大悟マネージングディレクター、清水英雄代表取締役

大悟氏 今、新しい時代のビジネス構築へビジネストランスフォーメーション(BX)が不可欠となっています。DXは、企業のSDGsESGなどサスティナブルトランスフォーメーション(SX)と、事業の効率化や事業の再構築、働き方改革といったポートフォリオトランスフォーメーション(PX)とあわせ、三位一体でBXを目指すための手法です。その一体的な推進が非常に重要であることを認識する事業者さんが増えています。

英雄氏 その第一歩がデジタルツールの導入です。その導入により事業の見える化ができるようになる。すると、一つの事業にとどまらず違う部署にまたがる事業が見え、これからどのような事業に取り組んでいくべきかを検討することができます。

山口氏 弊社のお客様の例では、住宅マネージャーでアフター機能を強化し、アフターの人材をリフォーム事業に回してリフォーム事業を強化した。まさに人員の最適配置、PXです。

こうしたDX化は、顧客満足度の向上につながります。生涯にわたりライフステージごとの提案を行うためには住宅履歴の蓄積が不可欠です。どのような点検を行い、リフォームをしてきたから、今、外壁のリフォーム時期を迎えているなど、効率的な追客が可能になり、お客様の満足度を高め、信頼度向上につなげることができます。

仕事の属人化を脱するきっかけに
情報がなければ的確なアプローチはできない

山口氏 もう一つ、属人化を排除したい。「あの人に聞かないとわからない」は、仕事が属人化しているためです。

大悟氏 DXが属人化を脱するきっかけになることは間違いありません。ある事業者では、これまで属人的な”自分のやり方”であったのが、連携を重視し、販売スタイルも変わりました。

例えば、これまではAさんの工事であればAさん個人の情報しか取っていなかった。しかし、住宅マネージャーはそれだけでなくAさんの両親や兄弟、知人の情報など、さまざまな情報を入れることができます。これらの情報は紹介受注はもとより、他の部署が手掛ける事業にもつながります。他部署の事業まで視野に入れた考え方へと変わるきっかけとなるのです。

英雄氏 それこそがDXが持つ力だと思います。地域のビルダーにはこれまでと違った営業スタイルが求められます。両親や兄弟の情報、資産の情報をしっかり取ることができたら、その地域のなかでアフターやリフォームなど、しっかりサポートすることができます。情報がなければ的確なアプローチはできません。

今、国は二地域居住を推し進めようとしています。間違いなく住宅産業は地場産業の時代に入ってくる。言い換えればビルダーの時代です。こうしたなかで地域に信頼を得て、ブランド力を高めるためには、お客様に生涯寄り添ったサポートが欠かせません。

従業員満足度の向上は残業減だけではなく働き甲斐の実現も

山口氏 DXが持つもう一つの大きな効果に従業員満足度(ES)の向上があると思います。社員に「この会社で働けて良かったよね」と思っていただく、そのためには一元管理システムの導入が不可欠だと考えています。

大悟氏 従業員満足度は、単に残業を減らす、有給休暇が取れるようにするなど、働き方改革の側面が強調されがちです。もちろん、それらも重要ですが、仕事を自分たちのやりがいにつなげていけるかという視点も重要だと考えています。それができるように経営者側もシステムづくり、環境づくりをしていく必要があると思います。

英雄氏 ESの視点からは個人のスキルアップも重要です。例えば、若い人であればローテーションによりさまざまな部署を回ることが大きな経験になるでしょう。また、定年を迎えた方が生涯現役で働ける仕組みをつくれば、これまでの経験を生かすことができます。

山口氏 データがきちんと蓄積ができていれば、簡単な引継ぎでローテーションもできますね。ただ、それはシステムがあれば良いというものではなく、社員をサポートする教育も必要です。KSKがコンサルティング会社である清水英雄事務所と連携しているのも、まさにそこが大きな狙いです。

正しく課題を顕在化し正しい施策を打つ
そのためのシステム×コンサルの連携

大悟氏 何もしなければ属人化は半永久に続くでしょう。結果、忙しさは変わらずESの実現には至りません。また、事務系、発注、見積・積算などでは二重入力などのムダがあります。また、提出先によって何種類も書類をつくるといったムダもあります。

山口氏 生産性の低下、見えないコストという大きなムダですね。

同時に、それはきちんとした情報が伝わらない、あるいは誤った情報が伝わることにもなりかねません。誤った情報では誤った課題が顕在化され、誤った施策を打つことになり、何ら解決しません。

住宅マネージャーで半年間で契約になったお客様の情報を分析してみれば、契約までの期間が半年のお客様と一年のお客様で何が違うのかが分かります。正しく課題を顕在化し、正しく施策を打つ、それを回していく、それがDX化であり、システムの強みです。ただ、このなかの「正しく施策を打つ」にはコンサルティングの力が必要です。

大悟氏 施策を打てるような人たちが、どのような発想を持って情報を見るか、どのような行動をするか、そのスキルを強めていかなければなりません。私たちは、それを「リーダーのコアスキル」と呼んでいます。今、求められていること、やらなければいけないことはすべて従前とは異なる新しいことばかりです。そうしたスキルアップのお役に立てればと考えています。

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