都市(まち)の木造化推進法 民間建築含め木材利用を促進

2021年10月、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法)」が施行された。民間建築も含めて木材利用促進を図る。国産材の利用拡大、中高層の木造化も一気に加速しそうだ。

国産材を取り巻く環境は、近年劇的に変化している。伐採期を迎えた国産材を活用していこうという機運が高まり、2010年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(木促法)」が制定され、国は率先して公共建築物での木材利用を促進してきた。低層の公共建築物の木造化率は、2010年度17.9%から2021年度には29.4%まで上昇。木材利用の取り組みは進展している。

さらに、木促法の施行から10年以上が経ち、SDGs、脱炭素化といった観点からも木材利用、木造建築に脚光が集まる中で、さらに、建築物への木材利用を促進する目的で、同法が改正され、法律の題名が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用促進に関する法律」(通称:都市(まち)の木造化推進法)へと変わり、2022年10月1日に施行された。新たに「脱炭素社会の実現」という大義を掲げ、一般建築も含めて木造化を推進していく方針が打ち出された。

また、林業・木材産業の事業者に対し、建築用木材などの適切かつ安定的な供給に努めるよう努力義務を規定した。さらに、10月を「木材利用促進月間」、10月8日を「木材利用促進の日」と定めた。

建築物における木材利用の促進に関する施策も拡充する。同法による木材利用の基本方針、都道府県や市町村が定める基本方針の対象範囲を、現状の公共建築物から建築物一般に拡大し、広く民間建築も含めて木材利用を促進する。木造建築物の設計・施工に係る先進的技術や、強度などに優れた建築用木材の製造技術の開発・普及も図る。

木材製造事業者が、公共建築物に係る建築用木材の供給能力の向上を図るために、建築用木材の製造のために必要な施設の整備、高度な知識または技術を有する人材を確保する取り組みに対して、国や地方自治体が必要な措置を講じるように努める。木材製造の高度化に関する事業者の計画を認定し、開発資金を助成する仕組みなども盛り込んだ。

また、農林水産省内に特別機関として「木材利用促進本部」(本部長:農林水産大臣、本部員:総務大臣・文部科学大臣・経済産業大臣・国土交通大臣・環境大臣など)を設置し、建築物の木材利用に関する基本方針を策定し、関連する施策を実施、推進する。

加えて、農林水産省では、建築物に利用した炭素貯蔵量をわかりやすく表示するためのガイドラインを定め公表。建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量を国民や企業にとってわかりやすく表示するため、標準的な計算方法(炭素貯蔵量(CO2換算量)計算式)と表示方法を示した。

建築物木材利用促進協定の締結が加速


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