建築基準法 木造建築推進へ建基法改正が進む
防耐火規制の合理化で木造建築を建てやすく
伐採期を迎えた国産材の利用拡大、脱炭素、SDGsといった観点から、木材を建築物に積極的に活用していこうとする動きが広がっている。これを受けて、木材利用拡大、木造建築推進を目的とした法改正が進む。
木造建築を建てる上での大きなハードルとなる防耐火に関する規制だが、近年、建築基準法の改正により、安全性を確保した上で合理化を進め、木造で建てられる範囲を増やそうとする動きが加速している。
1992年の建築基準法改正により、準耐火建築物の概念が導入され、3階建まで45分準耐火構造による設計が可能になった。直近では、木造建築の推進を一つの柱として、2019年6月に建築基準法が改正。2000年の改正――木造耐火建築物が新たに定義され、防火地域や4階建以上でも木造化が可能となった――以降、19年ぶりの大幅改正であった。建築基準法では、高さ制限や面積制限に係わる法第21条、用途制限に係わる法第27条、防火地域・準防火地域に係わる法第61条などにより、耐火要件を定めている。従来は、この3つの条文が求める要件のいずれか一つでも該当する建築物は一律、仕様規定により耐火建築とすることが求められた。対して、2019年6月の改正により、これら条文が求める要求性能を明確にして性能規定化し、要求性能を満たすことで、耐火建築と同等として、準耐火構造などの建築物を建てられるようにした。具体的には、細かな防火区画や消防力なども評価し、倒壊を抑制する措置を施した準耐火構造の建物や、既存の45分、60分の準耐火構造を上回る75分、90分の準耐火構造などを新たに設定した。耐火建築物では燃えしろ設計ができないことから意匠上の自由度が狭められていたが、法第21条、法第27条、法第61条などが改正され、燃えしろ設計ができる立地、規模、用途範囲が広がり、意匠上の設計の自由度が高まった。
この法改正により、耐火建築物と同等以上に延焼防止の性能を持つ「延焼防止建築物(75分準耐火構造)」という外殻強化型の建築物などが追加された。階数3以下かつ延べ床面積3000㎡以下の建築物では、立地規定と連動し、耐火建築以外に延焼防止建築物も建てることが可能になった。
なお、木造建築の防耐火などの法規制に詳しい安井昇氏が代表を務める桜設計集団の調査によると、2022年7月時点で、1992年以降の木造準耐火建築物の累計建築棟数は50万棟以上、2000年以降の木造耐火建築物の累計建築棟数は8000棟以上、2019年以降の耐火同等建築物(1時間超準耐火構造+安全上の措置など)の累計建築棟数は2棟程度となっている。
90分耐火を導入し設計の自由度が向上
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