省エネ性能表示 省エネ性能表示が生まれ変わる

省エネ住宅の魅力をいかに伝えるかが鍵に

2022年6月、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が改正され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示制度が見直された。

表示方法を国土交通大臣が告示で定め、それに従わない事業者に対しては勧告・公表・命令などの措置が可能となる。

省エネ性能表示は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)において、より高い省エネ性能への誘導を図るために、販売・賃貸事業者に対する建築物の省エネ性能の表示の努力義務を定めた制度で、2016年4月から施行されている。

建築物省エネ法は、第7条で「住宅事業建築主その他の建築物の販売又は賃貸を行う事業者は、その販売又は賃貸を行う建築物について、建築物エネルギー消費性能(省エネ性能)を表示するよう努めなければならない」と規定しており、同制度の施行に先駆けて16年3月には性能表示に関するガイドライン「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」を策定・公表した。このガイドラインのなかで具体的な表示内容に関する遵守事項と推奨事項を定めている。

遵守事項では、表示項目、表示方法、留意点について定める。表示事項の具体的な内容は、①建築物の名称(戸建住宅の場合は省略可能)、②評価年月日、③第三者認証又は評価別の項目、④第三者認証機関名称、⑤設計一次エネルギー消費量の基準一次エネルギー消費量からの削減、⑥基準値、誘導基準値及び設計値の関係図、⑦一次エネルギー消費量基準の適合可否、⑧外皮基準の適合可否、⑨建築物の一部(テナント、住戸等)で評価した場合はその旨、⑩第三者認証の場合は第三者認証マーク、とされていた。

その第三者認証マークの一つがBELSだ。2013年に「非住宅建築物に係るエネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」が制定されたのを受けて「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」がスタートした。2年後に建築物省エネ法が公布、住宅においてエネルギー消費性能の表示が努力義務となったことから、新たに制定されたガイドラインに基づく第三者認証のマークの一つとして、BELSは住宅もその範疇に含み、新たにスタートした。BELSの実績は、21年までの累積で、一戸建て住宅が16万8586戸、共同住宅等の住戸が4万3869戸、非住宅が2774件、複合建築物が23件となっている。

わかりやすく、使いやすい
新たな表示ルールの誕生

ラベルのイメージ
(再エネ利用設備が設置されている住宅の場合)

建築物省エネ法の主な改正ポイントの一つが「販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進」で、これまでは「表示の努力義務」であったものが大幅に強化される。具体的には、販売・賃貸の広告などに省エネ性能を表示する方法を国土交通大臣が告示で定め、告示に従い表示を行わない事業者には勧告・公表・命令などの措置が可能となる。

この改正を受け、国土交通省は2022年11月に「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」(座長:明海大学不動産学部 中城康彦教授)を設置、表示ルールの検討を行うとともに、制度の施行に向けた表示の促進策を検討に着手。新たな表示のルールづくりに向けては、消費者にとってわかりやすいことだけでなく、販売・賃貸事業者が取り組みやすい、また、実現可能な仕組みとすることを基本方針として検討が進められた。

第3回までの議論を踏まえ、新たな表示ルールにおける基本的事項をとりまとめた。


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