ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」の普及を推進

快適な暮らしと脱炭素化、そして光熱費削減に貢献

電気とガスのハイブリッドで実現するトップ水準の省エネ性能

新たに市場投入したECO ONE X5

ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」のさらなる普及を推し進めようとしている。
快適な暮らしと脱炭素化に貢献し、さらには光熱費の削減によって家計も助ける住宅設備として、その活躍の場を大きく広げようとしている。

リンナイが給湯分野の省エネ化のさらなる推進に向けて、2010年に市場投入したハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE」。電気ヒートポンプと高効率ガス給湯器「エコジョーズ」を組み合わせることで、トップクラスの省エネ性能を達成したことで、給湯分野の省エネ化に新たな潮流をもたらした。

同社では、「エコジョーズ」の省エネ性能向上に向けた技術開発を進めていたが、ガス給湯器の場合、高性能なものでも熱効率は95%前後である。1のエネルギーを投入しても、最高でも0.95くらいのエネルギーしか給湯に使えない。対して、電気ヒートポンプを利用すると、投入した1のエネルギーを3~4にまで大きくすることができる。エアコンなどにも利用されているヒートポンプだが、空気熱を利用することでエネルギー効率を高めることができる。

高効率型の電気給湯器であるエコキュートもヒートポンプを利用しているが、優れたエネルギー効率を実現できる一方で、どうしても大型の貯湯タンクが必要になるという課題もある。お湯を沸かすまでにある程度の時間が必要となるため、湯切れの問題を回避するためには大容量のタンクが必要になるのだ。対して、ガス給湯器の特徴は瞬時にお湯を沸かすことができるため、大容量の貯湯タンクを必要としない。

電気ヒートポンプとガス給湯器の良い部分を融合することができれば──。その発想から生まれたのが「ECO ONE」である。

各種給湯器を上回る省エネ性能
たっぷりのお湯を使える快適性も

「ECO ONE」は、通常時は電気ヒートポンプでお湯を沸かし、お湯の需要が急激に増加した時などには「エコジョーズ」がバックアップするという仕組み。結果として、優れた省エネ性能と湯切れの心配なく貯湯タンクのコンパクト化を実現している。

ガス給湯器のバックアップがあるため、電気ヒートポンプを急激にフル稼働させる必要もない。その結果としてエネルギー効率がさらに高くなるという。同社営業企画部の中尾公厚部長は、「ちょうど自動車が同じ速度で長時間走った方が燃費はよくなるのと同じように、電気ヒートポンプもできるだけ同じような稼働状況を続ける方がポテンシャルを発揮できる」と話す。

一般的なガス給湯器の一次エネルギー消費量は年間25.1GJだが、「ECO ONE」は13.8GJまでエネルギー消費量を削減できる(160ℓの場合)。エコジョーズの21.6GJ、エコキュート(JIS4.0)の15.0GJと比べても、圧倒的な省エネ性能を誇ることが分かる。

「ECO ONE」には貯湯タンクにいくつかバリエーションがある。一般的なエコキュートに比べ、給湯タンクの容量が少ないにも関わらず、給湯だけでなく床暖房などの温水暖房にも利用しても湯切れの心配がなく、快適な暮らしを演出する。

さらに、光熱費の削減によって家計も助ける。リンナイの試算によると、新商品の「ECO ONE X5」は、エコジョーズと比較して年間の給湯ランニングコストを3万円弱削減できるという。

また、ハイブリッド給湯・暖房システムは経産省が実施している高効率型の給湯器に対する補助の給湯省エネ事業を利用すれば1台当たり5万円の補助を受けられる。同社ではECO ONE X5のイニシャルコストをエコジョーズと比べて20万円ほど高く想定しているが、ランニングコストの削減効果と補助金の効果により、イニシャルコストの差を8年で回収できると試算する。「補助金の効果は大きく、コスト差の回収年数が従来より2年ほど短くなった。これにより15年給湯器を使用した場合、トータルコストはECO ONEの方が約20万円もお得になる」(中尾部長)としている。

【試算条件】
イニシャルコスト+年間給湯光熱費(ガス+電気)にて比較。給湯光熱費(ガス+電気)以外の光熱費は含まず。
給湯年間電力/ガス消費量は国立研究開発法人建築研究所(協力:国土交通省国土技術政策総合研究所)による「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」で公開されている平成28年省エネルギー基準に準拠した「エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)Ver.3.3.1」(6地域)に基づき試算。年間給湯+追い焚き負荷18.3GJ。○電気料金目安単価:【エコジョーズ】33.69円/kWh 【エコワンX5】42円/kWh ○ガス料金目安単価(都市ガス):【エコジョーズ】202.27円/㎥ 【エコワンX5】210.53円/㎥ ○エコワンX5とエコジョーズのイニシャルコスト差:約22万円 (リンナイ試算)
●標準的な家庭をモデルとした上記条件での試算となり、実際のエネルギーコストはお客様のライフスタイルや建築条件、エネルギー料金などにより異なります。イニシャルコストはリンナイにて目安として設定しています。

新たに70ℓタイプを発売
マンションや狭小地住宅などに対応

リンナイでは、新たに「ECO ONE X5」を市場投入している。貯湯タンクが70ℓのタイプで、50ℓタイプと同様に基礎などを施工することなく設置できる一方で、100ℓタイプと同程度の省エネ性能を備えている。

大容量の貯湯タンクの方が省エネ性能は高くなるが、貯湯タンクを大きくすると、基礎を設置する必要が出てくるだけでなく、十分な設置スペースを確保することが難しい狭小地の住宅や集合住宅、さらには既存住宅に設置できないケースもある。

集合住宅用もラインアップに加え、マンションのZEH化に貢献
白濁のお湯で上質な入浴体験が味わえるマイクロバブルバスユニット内蔵タイプもある

「ECO ONE X5」は、こうした問題を解消するために、新たに「ターボヒーティング」という技術を搭載している。朝や日中は通常2.3kWでヒートポンプ給湯を効率的に稼働し、夜の給湯需要が増える時間帯になると3.9kWまで高めるというものだ。この技術によって、70ℓの貯湯タンクでありながら、高い省エネ性能を実現することに成功している。

戸建住宅用の「ECO ONE X5」は、狭小地の住宅だけでなく、既存住宅での取り替え需要にも対応可能だ。白濁のお湯が楽しめるマイクロバブルバスユニット内蔵タイプも揃えた。さらに、集合住宅向けの商品も用意し、マンションのZEH化にも貢献する。

日本の家庭で消費されるエネルギーのうち、給湯分野が42%を占めている。ここに暖房を加えると、家庭の消費エネルギーの65%を占める。逆に言えば、給湯と暖房のエネルギー消費量を削減することができれば、暮らしの脱炭素化に大きく貢献するということだ。

リンナイでは、年間の「ECO ONE」の販売量を、2030年には30万台にまで増やしていくことを目指している。給湯だけでなく、暖房分野の脱炭素化も実現する強力な武器となる「ECO ONE」。新築、既存住宅、集合住宅と、その活躍の場はさらに広がることになりそうだ。

リンナイWebサイト
https://www.rinnai.co.jp/