木材の「消費機会」を拡大しよう ユーザー意識を育みたい
利用期を迎える国産材を活用して林業の成長産業化に導くにはどのような取り組みが求められているのか。林材ライターの赤堀楠雄氏が地域で芽生える国産材活用の事例をルポする。
「環境にやさしい木材」は求められているのか
前々回の本欄で、岐阜県飛騨市が来年度から広葉樹林の皆伐跡地の更新状況を公表するという独自の制度を導入することを紹介した。
環境保全の気運が高まっている現在、森林が適切に管理されているかどうかは木材のユーザーにとって気になるところだ。事実、飛騨市の方針には複数の家具メーカーが歓迎する姿勢を示している。
だが、ユーザーの中でも、最川下の一般消費者、つまり普通の生活者が木材の環境特性について、どれほどの関心を持っているのか。日本の場合は必ずしも関心が高いわけではないと私は考えている。
ヨーロッパでは熱帯木材の不買運動も

家具メーカーなどのいわばプロユーザーについては、環境面でどのようなポリシーを持ち、スタンスでいるのかが必ず問われる。あるいは、問われることを前提に事業戦略を立てているはずだ。そのため、社会的立場からも、生産場所の森林が保全されていると確認できる木材を採用しようということになる。
一方、生活者の場合、ヨーロッパなどの市民意識と日本のそれとは、だいぶ異なる。1980年代の終わりから90年代の初めにかけて、東南アジアの熱帯林破壊が問題になった時、オランダやデンマークといったヨーロッパ諸国では、市民による熱帯産木材の不買運動が起きた。このことが引き金になり、環境適合性の高い木材を識別しようという機運が生まれ、それが森林認証(持続可能な森林経営が確保されていることを第三者的に認証するスキーム)という仕組みの導入につながった。これはヨーロッパでは市民の環境意識が高いからということもあろうが、それだけでなく、多くの市民が自分が木材のユーザーであるとの意識を抱いていることも作用したのではないか。
木材ユーザーになる機会が多い
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