新商品「シャノンウインドNS50トリプル」を発売

東名阪をメインターゲットに普及拡大を図る

エクセルシャノンは、普及品の「トリプルシャノンⅡx」をデザイン性と断熱性能を大幅に向上させ、東名阪をメインターゲットとした新商品「シャノンウインドNS50トリプル(以下NS50)」を発売する。長年樹脂サッシに取り組んできた同社の製品へのこだわりや今後の展開について、橋本幸登志 開発技術本部本部長、濵田尚志 営業本部本部長に伺った。

取締役
営業本部 本部長
濵田尚志 氏

取締役
開発技術本部 本部長
橋本幸登志 氏

──「NS50」の発売背景について教えてください。

濵田 政府が2050年カーボンニュートラルを宣言したことに合わせ、25年の省エネ基準適合義務化や、断熱性能等級6、7の設置など、住宅の脱炭素への施策が進んでいます。寒冷地で始まったエクセルシャノンですが、高断熱窓の需要が温暖地域でも高まってきました。

そうしたなか、東名阪エリアをメインターゲットに、ニュースタンダードとして生み出したのが「NS50」です。「NS50」はアルゴンガス仕様でありながら、縦すべり出し窓でUw値0.79W/(㎡・K)、引違い窓でUw値0.94W/(㎡・K)と高い断熱性能を有しています。

橋本 縦すべり出し窓0.79W/(㎡.K)、引違い窓0.94W/(㎡・K)というのは通常なら高価なクリプトンガス入りトリプルガラスで達成するような数字です。アルゴンガス仕様にしたことで、一部商品を除いて、資材高騰の中でも、従来品から価格を変えず提供することを可能にしました。

ただ、寒冷地では断熱性の高さが最重要視されますが、そのほかの地域で樹脂サッシを展開するとなると、断熱性はもとより、使いやすさやデザイン性まで追求した商品が求められてきます。

断熱性とフレームの強度を両立させるため、リブの構造について、ミリ単位での調整を繰り返しました。召し合わせ部分に関しても、スリム化をしながら、従来のものより高い耐風圧性能を実現しています。

濵田 建物の断熱性を向上させるために引違い窓の使用を控える傾向がありますが、日本の文化として引違い窓の必要性を感じていました。

例えば、狭小地が多く隣家との距離がない東名阪エリアでは、開き窓は使いにくかったり、日射遮蔽のためのブラインドをつけにくかったりします。物を出し入れする際にも、引違い窓の方が利便性が高いという声があり、引違い窓でUw値1.0以下のものをつくれないかと開発部にお願いしました。

橋本 引違い窓をつくるうえでは、操作性にも配慮しました。当社ではトリプルガラスの出荷量が過半数を占めていますが、ガラスが重たくて開閉しづらいという意見をいただいていました。そこで、戸車などを仕様変更し、開閉しやすさにこだわりました。また、テラスサイズは引手を通常の2倍の長さにしました。開発段階でユーザーの方を集めて実際に開閉してもらったところ、引手が長いと握力の弱いお年寄りや子供でも両手を使うことができ、簡単に開閉できることがわかりました。さらに爪の長い女性にも指を斜めにして引手を押せるので開閉しやすいと好評をいただき、商品に反映しました。

濵田 一方で、これまで積み上げてきた技術を引き継いでいる部分もあります。そのひとつとして、部品の調整や取換えのしやすさが挙げられます。

今回の商品に関していうと、サッシ部分に空のポケットを設け、気密材が劣化した場合に、ポケットに新しい気密材を入れることで使用を続けることができます。また、引違い窓では、引手からハンドルへの交換も可能なため、握力が弱くなるといったライフステージの変化に合わせて使い続けることができます。SDGsや環境配慮への社会意識が高まっていることからも、部品単位の交換によってゴミになる部分が少ない、当社のロングライフ設計は強みになると考えています。

「NS50」は、リブを工夫し、アルゴンガス仕様でありながら、高い断熱性能を実現したことが強み
フレームの見た目の厚さを1~2割程度、スリム化。「スリムでシャープなデザイン」を実現した

──商品発表後の反響や、今後の展開について、お聞かせください。

濵田 先日、当社製品に馴染みのない住宅事業者の方々に向けて、「NS50」の展示会を行いましたが、とてもよい反響をいただけました。意外だったのは、障子の軽さなど使い勝手の部分での評価が高かったことです。当社の現在のお客様は、断熱性能へ高い意識を持っている方がほとんどですが、使い勝手の面からのアプローチにより、より広い層の住宅事業者の方に興味を持っていただくきっかけになったのではないかと期待感を持っています。

私たちは、2030年度に当社の樹脂サッシ採用約3万棟を目指しています。需要は全国にあると思うので、東名阪から徐々に製造拠点を拡大していく考えです。

橋本 窓種としては、23種あり、現時点でかなり充実しているので家一棟の窓を「NS50」で揃えることも可能だと思います。今後、お客様の声を聴きながら、ニーズに応えていきます。また防火地域への対応として防火仕様を2024年度に追加できるよう開発を進めています。

──認知度拡大のために取り組まれることはありますか。

濵田 より多くの方にエクセルシャノンの存在知っていただくため、SNSを始める予定です。

加えて、当社の樹脂サッシへの理念をわかりやすく伝えるための冊子を作成しました。

当社は、いままでどのような想いで樹脂サッシを販売しているのか伝える機会をあまり設けてきませんでした。しかし、一方的に技術のすごさなどをアピールしてもお客様に響かないのではないかと思いました。特に、施主の方にそういった部分を伝えていくことは大切だと感じ、窓の重要さや当社の考え方を絵本にしました。小さいことではありますが、こうした取組みをきっかけに当社のファンになってほしいという願いがあります。

社員がきちんと意識をもって、顧客の方に伝えられるように、インナーブランディングとして、新入社員などに配布する予定です。まずは社内で意識の統一、浸透を図り、そこから販売店の方、工務店、施主の方へと普及していければと思います。

シャノンウインドNS50トリプル 特設サイトhttps://www.excelshanon.co.jp/ns50/