2023.3.27

日本の軸組金物工法の海外輸出へ協議会発足

有望市場はベトナム、中国など、WGも立ち上げ

日本の軸組金物工法の海外輸出などを目的とする「日本木造建築海外推進協議会」が発足した。院庄林業(武本哲郎 代表取締役、岡山県津山市)、都築木材(都築寛明 代表取締役社長、長野県伊那市)、ポラテック(中内晃次郎 代表取締役、埼玉県越谷市)、銘建工業(中島浩一郎 代表取締役社長、岡山県真庭市)、BXカネシン(二村一久 代表取締役、東京都葛飾区)、ライフデザイン・カバヤ(窪田健太郎 取締役社長、岡山県岡山市)の6社を正会員としてスタート。東京大学の青木謙治 准教授が会長に就任した。

東京大学弥生講堂アネックスで、協議会の設立記念式典が行われた

木造建築着工の下落、木材需要の低迷といった状況を打開するために、木造建築に関わる一部の企業は、海外事業の展開、販路拡大を目指し、プレカット部材の輸出や木造建築の海外展開の取り組みを始めている。しかし、市場の規制、製品・技術規格の整備、建設の許認可手続きなど、個別事業者レベルでは対応しきれないハードルは多い。一方で、循環型資源である木材を使用し、炭素貯蔵効果が期待できる木造建築の重要性は、脱炭素といった観点から高まっている。また、スギやヒノキを利用した部材、製品並びに木造関連の技術、設計、工法などを集大成とした木造建築、特にプレカット、金物などを駆使し、高性能、高品質を誇る軸組金物工法による木造建築は、高付加価値ものとして世界的に注目を集めている。

同協議会では、製材事業者、集成材メーカー、木材防腐防蟻処理剤メーカー、金物メーカー、建材流通事業者、プレカット工場、ビルダーなど、川上から川下の事業者まで、幅広く会員を募集、また、官学の協力も得ながら、オールジャパンの体制で海外向けの木造建築の普及を目指す。まずはベトナム、中国を有望な輸出先と位置づけ、協議会内にそれぞれの国の市場開拓に向け、具体的なアプローチを進めるワーキンググループを発足させる。

ベトナムには、すでにライフデザイン・カバヤが進出、木造建築が根付いていないベトナムでの木造戸建て住宅の開発・普及プロジェクトを推進するにあたり、建設分野を担うベトナム行政機関の建設省などと交渉し、ベトナムでの木造の建築許可ルートを模索する。また、2019年にはベトナムに大工訓練校「ライフデザイン・カバヤ・ベトナム」を開設。ベトナム人を日本に受入れ育成、同社の住宅建設現場で社員大工として活躍してもらう。また、将来的には、日本で木造建築の技術を身に付けたベトナム人社員大工がベトナムに帰国し、彼らが中心となり木造建築普及の担い手となることを期待する。窪田社長は「協議会発足を機に、オールジャパンで木造建築輸出の取り組みを加速させ、日本国内の工務店が海外進出しやすい道をつくっていきたい」と話す。