YKK / YKK AP、YKKグループが経営説明会を開催
増収増益に向け、海外拠点や新規事業に注力
YKKグループが経営方針説明会を行った。AP事業では窓リノベ需要の急増を受け、生産力アップを前倒しする予定。ファスニング事業では、営業本部のベトナム移転を行う。
YKKグループの22年度推定連結業績は、売上高8925億円(前年比112.0%)、営業利益507億円(同84.4%)の増収減益。これに対し、2023年度はグループ連結で売上高9486億円、営業利益734億円と、売上高1兆円に迫る増収増益を計画する。また、同グループは人材育成に力を入れ、新技術、領域探索への人財活用や専門人財の登用を目指す。
AP事業については、2022年の業積推定は、売上高5064億円(前年比113%)、営業利益が146億円(同84%)。2023年度は、新設住宅着工戸数の落ち込みに懸念があるものの、政府が3省連携で行う補助事業により、リフォーム市場の活性化が強まるのではないかとし、売上高5479億円(前年比108%)、営業利益276億円(同189%)を計画する。特に窓リノベへの補助額が大きく、内窓では現時点で既に受注が昨年の3倍となっており、生産が追い付かない状況だという。堀社長は「需要が非常に大きく、生産力が勝負になってくる」とする。もともと2023年10月~11月を目安に生産能力を3倍にしていく計画であったが、予想以上の受注量に、計画を前倒す意向。一方で、リフォーム用の外窓「マドリモ 樹脂窓」については、10月に内付け納まりの既設窓や壁厚の薄い住宅にも対応できる、枠見込みをコンパクト化したリニューアル商品を発売する予定だ。
また、新築用の窓については、APW 430に日射取得率を高めたガラス仕様を追加する。特に寒冷地において、断熱性能に加えて日射取得率の高さへの需要があり、対応するガラスを輸入することでニーズに応える。
2023年の設備投資は過去最高となる503億円。製造拠点の黒部にYKK AP30周年を記念した「YKK AP30ビル」、「(仮称)建材技術館」を設立する。
市場環境が大きく変動するなか、住宅向け商品の多くの領域でシェアを拡大している同社は、さらなる発展のため、海外での事業拡充、新規事業開拓を視野に入れる。海外事業は、インドにおいてコスト競争力のあるマンション用の窓商品を開発しており、これの販売に注力する。新規事業では、これまで構築したハウスメーカーやビルダーとの関係を生かした住宅の販路に乗せられる商品のほか、住宅から離れた全くの新規分野でも事業を起こしたいとする。例えば、今まで扱わなかった新しい素材を使った事業などを考える。
ファスニング事業は、2022年度の売上高が3801億円(前年比109.2%)、営業利益が416億円(同98.3%)の見込み。2023年計画は、売上高で3962億円(前年比104.2%)、営業利益で497億円(同119.4%)を目指す。また、海外拠点の強化として、ファスナー付き衣料のシェアが高まっているベトナムに営業本部を移転し、縫製拠点としての成長を後押しする。
YKKの猿丸雅之代表取締役会長は「YKK、YKK APは独立性が高くなってきており、それぞれでベストを追求する必要がある部分も出てきているが、更なるCORPORATE VALUEを求める経営理念や技術をベースにしたメーカーであることは両社変わらない。また、新規分野では研究開発部門のテクノロジー・イノベーションセンターを軸に新規事業に取り組む」と、今後の発展に期待を込めた。
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