2023.3.8

長谷萬/兼松サステック、高耐久・乾式防腐防蟻処理木材「DLT+AZN」を発売

マスティンバーの外構利用の道を開拓

両社で連携し、高耐久・乾式防腐防蟻処理マスティンバー「DLT+AZN」を開発した。屋外空間での木材、国産材活用の道を拓き、CO2削減、脱炭素に貢献していきたい考えだ。

長谷萬が展開するDLT(Dowel Laminated Timber)は、製材を並べて穴をあけ木ダボで接合した木質パネル。接着剤は使わずに、木材に深孔を開けて木ダボを通すという簡易な方法で製造できるマスティンバーだ。木材の加工性を生かした多彩な表面意匠が可能で、意匠材・構造材として活用できる。CLTや集成材など、接着剤で積層する構造材に比べ、製造方法がローテクでシンプルであるため、大型の設備がない中小の製材所などでも製造でき、地域材を歩留まり良く活用できるのが特長だ。

一方、兼松サステックは、「乾式加圧注入処理」という木材高耐久化の独自のノウハウを持つ。防腐・防蟻処理用木材保存剤ニッサンクリーンAZNを木材に「乾式加圧注入処理」し、構造材や木質外装材などの耐久性を高め、建物を長く使用することで、CO2固定化の効果を最大化し、脱炭素に貢献する提案を強化する。薬剤の加圧注入処理に水を一切使用しないため木材の含水率変化が少なく、含水率変化に伴う曲がり・反りなどの寸法変化がほとんど起きない。処理後、塗装などの作業もすぐにできるため、外構材に適している。木材の加工、プレカット後に処理することが可能で、処理後の乾燥が不要、すぐに納品、施工できる。AZN乾式保存処理木材の耐久性は、木材の劣化が最も促進される条件である地面に木材を垂直に埋込む評価方法で、15年以上の耐久性が確認されている。

今回この2社が連携し、DLTにニッサンクリーンAZNを乾式加圧注入処理した、高耐久・乾式防腐防蟻処理マスティンバー「DLT+AZN」を発売した。DLTをAZN乾式保存処理した事例として、幼稚園の園庭に設置した杉DLTによるボルダリング壁がある。「DLTには、木ダボを通すための穴をあけるため、より薬剤が浸潤しやすい。木ダボも含めて、十分に薬剤が浸潤していることを確認している」(長谷萬 執行役員 鈴木康史 開発本部長)。

共同で特許を取得
受注生産で対応

両社は「DLT+AZN」について共同で特許を取得した。今後、ゼネコン、設計事務所、住宅会社などに対して、公園の遊具材、造園材、木塀、木ルーバーなどの外構材の用途で提案していく。受注生産で対応し、長谷川萬治商店DLTを製造、プレカット加工を行い、兼松サステックが乾式加圧注入処理を行う。「DLT+AZN」による、マスティンバーの外構利用の道を開くことで、木材、国産材利用の拡大によるCO2削減、脱炭素化に貢献していきたい考えだ。