JBN、工務店評価制度の申請受付を開始
施工能力を見える化、処遇改善の好循環へ
(一社)JBN・全国工務店協会は、工務店評価制度の評価実施機関として申請受付を開始した。工務店評価、自社の施工能力等を見える化し、公表、発信することで、受注機会の拡大、高齢化する建設業界において若手層の入職の増加につなげていきたい考えだ。また、地域で継続して人材の育成や地域貢献に取り組む良好な工務店を選ぶための、消費者の指標となることなども期待する。
工務店評価制度は、建設技能者の技能・経験を客観的に評価し処遇改善につなげるため、国土交通省が業界団体と一丸となり推進する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の仕組みを活用して実施するもの。国土交通省が定める「専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度」に基づき、技能者の保有資格や就業履歴を業界横断・統一のルールで登録・蓄積する仕組みであるCCUSに登録・蓄積される情報や、CCUSに登録される建設技能者の資格と経験について能力評価を実施する制度(建設技能者の能力評価制度)のレベル判定などを活用し、専門工事企業の施工能力等を「見える化」する。
能力評価に関する告示等に基づき、見える化評価制度を実施しようとする専門工事業団体等が施工能力等の見える化評価基準を策定し、国土交通大臣が認定。見える化評価基準を策定した評価実施機関が、認定された見える化評価基準に基づき、評価を実施する。現在、「建築大工(工務店)」をはじめ、「基礎ぐい」、「切断穿孔」、「機械土工」、「鉄筋」、「とび・大工」、「土工」、「左官」、「PC工事」などの9職種で見える化評価基準が認定されている。
国土交通省は、「CCUS」、「建設技能者の能力評価制度」、「見える化評価制度」は「三位一体」であり、それぞれの普及を進め相乗効果により、建設技能者の処遇を改善し、建設業の担い手を確保していく、とする。
なお、2021年の労働力調査における建設労働技能者数309万人に対して、2022年8月末時点で97.2万人の技能者がCCUSに登録。CCUSへの事業者の登録数は18.7万社、うち一人親方は5.9万社。就業履歴数は305.8万履歴を蓄積し、現場での利用は増加傾向にある。
基礎情報、施工能力、コンプラを4つ星で評価
JBNは、全国建設労働組合総連合、(一社)全国住宅産業地域活性化協議会と共に「建築大工」の評価実施機関の1団体として認定されており、このほど、建築大工が所属する中小工務店等を、見える化評価の対象とする「工務店評価基準」の評価申請受け付けを開始した。
工務店評価基準は、中小工務店等を対象とした「工務店評価基準」、個人事業主や一人親方等を対象とした「工務店評価S基準」の2種類を設けている。建設業許可年数、資本金、完成工事高などの「基礎情報」、CCUSカード保有者数、能力評価3以上の者の割合などの「施工能力」、処分歴、社会保険加入状況などの「コンプライアンス」の3項目を、1つ星から4つ星で評価する。
また、工務店独自の評価項目として、認定訓練校の活用、技能五輪などの活用、登録建築大工基幹技能者の有無、災害協定締結団体への所属、災害ボランティアなどの実績、地域型住宅グリーン化事業のグループ登録、認定長期優良住宅、LCCM住宅、住宅性能表示制度、リフォーム瑕疵保険などの登録・活用なども盛り込まれている。評価内容の合計の平均点が75点以上を「☆☆☆☆評価」、50点以上75点未満を「☆☆☆評価」、25点以上50点未満を「☆☆評価」、25点未満を「☆評価」とする。また、全体評価として評価対象全項目(工務店基準=25項目、工務店S基準=16項目)の平均点を結果通知書に表記する。
JBNのHPから申請書をダウンロードし、必要事項を記入の上、JBN工務店評価事務局までメールで送付する。評価申請は随時可能で、評価は7月末、10月末、1月末、4月末と3カ月に1回実施し、各申請事業者に評価結果通知書をメールで送付する。工務店評価基準の評価手数料は、JBN正会員1万1000円、正会員外3万3000円。S基準の手数料は、JBN正会員7700円、正会員外2万2000円。評価結果は、今後作成予定の、工務店評価運営委員会が運営するHPに掲載され、国土交通省のHPとも相互リンクが行われる予定。評価を受けた事業者は、国交省が作成した「専門工事企業の施工能力等の見える化評価制度ロゴマーク」なども使用できる。評価結果の有効期限は評価実施日から1年間。JBNは、「地域における仕事確保・人材育成・社員処遇改善の好循環を具体的に作り出していくための制度」と位置づけ、会員の活用を促していく考えだ。
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