2023.2.15

“脱・東京一極集中〟にブレーキ

東京都転入超過が約7倍、コロナ禍収束で都心回帰が始まった

2022年の東京都の転入超過数が3万8000人超えと前年から約7倍もの増加となった。特に23区では転入者が約2万人と前年の転出超過から反転した。東京一極集中是正の実現に黄信号が灯る。

東京圏(1都3県)の転入超過数の推移

コロナ禍を通じて萌芽が見え始めていた東京一極集中の是正にブレーキがかかった。

総務省の「住民台帳人口移動報告」によると、2022年の都道府県間の移動者数は255万3434人と前年比3・1%増加した。転入超過となった都道府県は11であるが、東京都(3万8023人)、神奈川県(2万7564人)、埼玉県(2万5634人)の1都2県が群を抜いて多い。なかでも東京都の転入超過人数は前年の5433人から3万2590人と、約7倍もの増加となった。

東京都の転入超過は2014~2019年に年間7万~8万人台で推移してきたが、コロナ禍で減少、2020年に3万1125人、2021年には5433人と急激に減り、2年連続の過去最少(集計方法が変わった2014年調査以来)を続けた。また、2021年には東京23区で初の転出超過ともなった。さらに、神奈川、千葉、埼玉の3県を加えた東京圏の転入超過も2021年には8万1699人と、前年から1万7544人減少して過去最低となったが、3県における転入超過数は前年より拡大した。

テレワークの普及を背景に、東京都心から主に郊外への動きが進んだとみられる。

2022年の東京圏の転入超過数は9万9519人、同1万7820人の増加。2022年の1年を通じて転入超過数は緩やかな拡大傾向が続いている。ただし、転入超過が拡大したのは東京都のみで、神奈川県、千葉県、埼玉県の3県は転入超過数が縮小した。

逆に東京都特別区部は転入者が前年比1万9469人増と21大都市のなかで最も多く、転入超過数は2万1420人と、前年の1万4828の転出超過から反転した。

コロナ禍が収束へと向かい、日常が取り戻されるなかで都道府県間を超える引っ越しが増え、経済活動の正常化が進むなかテレワーク実施率が下がるなかで東京回帰が始まったとみられる。コロナ禍で進み始めた動きにブレーキがかかり、コロナ禍以前の「首都圏一極集中」というトレンドへの揺れ戻しが起こったといえよう。

先にまとまった「デジタル田園都市国家構想総合戦略」では、「2027年度に地方と東京圏との転入・転出を均衡」を一つの目標として掲げるが、その実現へ向けさらなる取り組みの加速が求められる。