2023.2.10

DesignFuture Japan 世界最大の建材マーケットプレイスが日本上陸

ピッキング自動化でサンプルを最短翌朝配送へ

米国で10万以上のユーザーが利用する建材サンプルマーケットプレイス「Material Bank」が日本での事業展開に向け実証実験を開始した。倉庫作業に自律移動式ロボットを導入し、建材サンプルの短時間での配送を実現する。

DesignFuture Japanの中沢剛CEO(左)とLocus Roboticsのリック・フォークCEO(右)

MATERIAL TECHNOLOGIES CORPORATION(マテリアルテクノロジーズコーポレーション、米国フロリダ州、アダム・サンドウCEO)が運営する世界最大の建材サンプルマーケットプレイス「Material Bank(マテリアルバンク)」が初の海外事業として日本でサービスを開始する。これに伴い発足したDesignFuture Japan(東京都渋谷区、中沢剛CEO)は、物流倉庫向け自律移動ロボットの大手Locus Robotics(米国マサチューセッツ州、リック・フォークCEO)と連携し「Material Bank Japan」の実証実験を開始した。

マテリアルバンクは、多様なメーカーのサンプルを1つのサイトで検索でき、深夜0時までに注文すれば最短翌朝に1箱で受け取れるデザイナー(インテリアデザイン、建築設計、ディスプレイ設計など)向けの建材サンプルのマーケットプレイス。マテリアルテクノロジーズコーポレーションの調査では、デザイナーが建材探しと取り寄せに割く時間は、業務全体の4割近くを占めるという。

デザイナーが必要とする建材サンプルは、一つの空間設計においても壁材、床材、天井など多岐に渡るが、複数のメーカーから取り寄せる場合、取り寄せ方法や規格が異なり、サンプルの到着時間も建材によって違うため、作業が煩雑化、停滞する原因となる。マテリアルバンクを使えば、1つのサイトでの注文が可能になるため、デザイナーの業務負担が軽減されることはもちろん、メーカーに対してもデザイナーと直接やりとりできるツールやサンプル請求時の案件情報を提供することで、建材の提案がしやすい環境をつくる。

画面の商品ID は正しい建材のバーコードを読み込むと緑色、誤った建材のバーコードを読み込むと赤色で表示される

また、米国の実績では、デザイナーが1回のサンプル請求で注文する建材は平均4社のものであるため、マテリアルバンクからの一括発送により約75%の発送個数削減が行えるとする。マテリアルバンクジャパンでは、オリジナルのサンプル配送トレーを使用し、使い終わったサンプルの返品ボックスとしても活用できる。

2019年よりサービスを開始している米国のマテリアルバンクは北米だけで設計事務所ベースでトップ大手200社の94%に値する10万人を超えるデザイナーが利用しており、1日に約8万個の建材サンプルを届けている。

中沢CEOは「日本のデザイナーがサンプル請求に費やしている時間は米国以上ともいわれている。建材サンプルは多くの需要に応えられるように在庫しておかなければならず、保管の効率性を高めるのは限界があるため、出荷の部分をいかに効率化できるかが重要となる」といい、マテリアルバンクジャパンにおいても、米国と同様に最短翌日発送を目指す。

ロボット世界大手と協業
倉庫作業の生産性を2倍以上アップ

今回の事業展開にあたり連携を取るのが、物流倉庫向けのロボットを開発し、世界17か国で250以上の拠点をもつローカス・ロボティクスだ。同社のロボット「LocusBots」はすでに米国のマテリアルバンク事業において活躍している。自律移動式ロボットのため、人の作業に合わせて移動できることが特徴。これにより、倉庫内で作業するスタッフの移動距離が格段に減少し、事故などのトラブル発生抑制につながる。

施主にそのまま見せられるようなきれいな梱包を心がける。壊れやすいものや色移りしやすいものはあらかじめボードに圧密着する

マテリアルバンクジャパンでは「LocusBots」25台を導入し、倉庫内のピッキング作業の効率化を進める。デザイナーからの注文が入ると、オーダーがマテリアルバンクの倉庫システムからローカス社の情報処理会社であるLocusソリューションに送られる。Locusソリューションが最適化した注文をロボットへ送ると、倉庫内のWi‐Fiを介してロボットは自動で最短の道順を計算して移動する。これにより生産性は2倍以上向上するとしており、庫内作業スタッフの歩く距離を大幅に減らすことができた。

ローカス・ロボティクスの日本での事業展開は今回が初となるが、その可能性について「日本は大きな経済市場であり、大規模な倉庫も多い。また、ファミリーレストランでもロボットが稼働しておりロボット導入に対して理解が高いように感じている」(リック・フォークCEO)と期待を込める。なお、同社の調査によると、日本の電子商取引規模は世界4位で、従業員に対するロボットの比率は世界で2番目に高いという。
実証実験は、千葉県市川市の6000㎡規模の倉庫で行われ、メーカー、デザイナー間のコミュニケーション改善やサービスのユーザビリティなどを検証する。実験開始段階での参加デザイナーは3000名、参加メーカー数は約60社で、実証実験中に拡大していく。

マテリアルバンクジャパンは、今春の本格稼働を予定。3年以内に米国の実績レベル(利用デザイナー10万人規模)を達成することが目標だ。