脱炭素化を背景に建築への木材利用が加速 中高層建築の木造化に大きな伸びしろ
拡大必須の注目マーケット 中大規模木造市場
2050年脱炭素の実現に向けて、炭素貯蔵効果が期待でき、再生可能な循環資源である「木材」を建築物に積極的に利用しようとする機運が高まっている。工務店からハウスメーカー、ゼネコンまで様々なプレーヤーがそれぞれの強みを生かして中大規模木造市場の開拓を加速する。
脱炭素化を背景に木造建築への注目度が高まっている。ただし、2021年の日本の建築着工床面積の現状を見ると、低層住宅以外の非住宅・中高層建築物の木造率は6%と低い状況にある。しかし、裏を返せば、そこに大きな伸びしろがあり、大きなビジネスチャンスが眠っていると言える。
中大規模建築の木造化を後押しする法改正、環境整備も進む。2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定され、国は率先して公共建築物での木材利用を促進してきた。低層の公共建築物の木造化率は、2010年度18.3%から2020年度には29.7%まで上昇。木材利用の取り組みは進展している。さらに2021年6月には、木材利用促進の対象を公共建築物から、民間建築物を含めた建築物一般に拡大するための法改正が行われ、「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(都市(まち)の木造化推進法)」として10月1日に施行された。木材利用の基本方針の対象範囲を、現状の公共建築物から建築物一般に拡大し、広く民間建築も含めて木材利用を促進する。
また、「建築物木材利用促進協定」制度を新設。建築物における木材利用を促進するために、建築主である事業者などと国又は地方公共団体が協定を結び、木材利用に取り組む。川上と川中の事業者が協定に参画することで、地域材の利用促進も期待できる。国・地方公共団体は、協定を締結した事業者などへ必要な支援を行う。
さらに、農林水産省では、建築物に利用した炭素貯蔵量をわかりやすく表示するためのガイドラインを定め公表。建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量を国民や企業にとってわかりやすく表示するため、標準的な計算方法(炭素貯蔵量(CO2換算量)計算式)と表示方法を示した。
工務店、ハウスメーカー、ゼネコンもそれぞれの強みで市場開拓
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