脱炭素需要を喚起し市場は拡大へ “コロナ特需”で終わらせないための提案が鍵に

拡大必須の注目マーケット リフォーム市場

2022年のリフォーム市場は、コロナの感染拡大から収束へという流れのなかで転換期となった。コロナ禍で高まった住空間への関心、リフォーム需要の高まりを継続的なものとしていくためにも2023年は非常に重要な年となりそうだ。

(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが公表した、住宅リフォームの市場推計によると、2021年のリフォーム市場(設備などの修繕維持費+増築・改築工事費の合計額)は6兆5000億円と、前年の6兆600億円から7.3%増加であり、3年連続の市場拡大となった。また、前出のリフォーム市場にエアコンや家具、インテリアなども含めた広義のリフォーム市場は7兆6400億円で同4.5%増、こちらは5年連続の拡大だ。

2020年からのコロナ禍で在宅期間が長期化、住空間への関心が高まり、住宅リフォームの需要を喚起した。6兆5000億円という市場は、同センターの統計で数字が把握できる1989年以降で最も大きく、2013年の6兆1000億円を超えて過去最高となった。また、広義のリフォーム市場は1996年に9兆600億円という一つのピークがあるが、2002年からの20年間では最も大きな数字となっている。

リフォームの大手各社の2022年上半期の業績を見てみると、住友不動産の「新築そっくりさん」の上半期の売上高は396億7400万円(前年同期比1.5%増)。積水ハウスの2022年度第3四半期(2022年2~10月)のリフォーム事業は、1182億円(同6.2%増)。また、積水化学工業の上半期のリフォーム売上高は470億円(同2.4%増)旭化成ホームズのリフォーム部門の売上高は261億円(同2.5%減)。文化シヤッターの売上高は、住宅リフォームとビルリニューアルが堅調に推移して28億8000万円。

2022年度上半期の各社業績は、前年度の好調な市場環境を受け好調に推移したと言っていい。ただ、2022年に入りコロナ禍が収束に向かいつつあるなか、2022年、2023年の市場は厳しくなりそうだ。矢野経済研究所の推計では、2021年の住宅リフォーム市場規模は6兆9000億円、同4000億円増であるが、2022年は6兆5000億円、2023年は6兆6000億円と予測している。観光需要喚起策などにより外向きの消費が増加することでのリフォーム需要の減少に加え、消費財の物価高騰による家計支出全体の縮小、建築資材高騰によるリフォーム工事費の上昇などもマイナスに働き、市場縮小は避けられないとみている。

例えば、住友不動産の「新築そっくりさん」の上期の受注棟数は3964棟(同6.7%減)と、前年同期時点の23.8%増という大幅増加に比べブレーキがかかった。

省エネ改修の支援が充実
市場拡大に求められるブレークスルー


この記事はプレミアム会員限定記事です。
プレミアム会員になると続きをお読みいただけます。

新規会員登録

(無料会員登録後にプレミアム会員へのアップグレードが可能になります)

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。