太陽光発電義務化の動きが加速 創エネ需要拡大に期待
拡大必須の注目マーケット 太陽光発電市場
2050年カーボンニュートラルの実現やエネルギー価格高騰による電気代の値上がりなどを背景に、住宅マーケットでは創エネ市場のさらなる拡大が予想される。東京都など、一部の自治体では太陽光発電設備の設置義務化が進むなど、2023年は普及拡大に向けた取り組みが加速しそうだ。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、2030年度にCO2排出量を2013年度比46%削減する目標が掲げられており、特に家庭部門は66%の削減が求められている。また、2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が開始されたことで、各種燃料や資材価格の高騰が発生、現在もなお、その影響は世界中に及んでおり、日本でも火力発電を行うための燃料が不足、電気料金の値上げが相次いで発生した。
こうした情勢を背景に住宅業界で注目を集めているのが太陽光発電設備の導入だ。(一社)太陽光発電協会によれば、2021年度の住宅用(10kW未満)太陽光発電の導入件数は、15万3101件で、前年度比8.1%増と4年連続の増加となった。
住宅用太陽光発電が広がったターニングポイントはFIT(固定価格買取制度)の導入だ。FITは、再生可能エネルギーで発電した電気を設備導入から10年間、電力会社が固定料金で買い取ることを国が保証する制度で、開始された2012年7月~2013年度にかけての太陽光発電の年平均導入件数は27.2万件と、売電収入を魅力に住宅への普及に弾みが付いた。だが、売電価格の減少もあり、近年の導入数はこの6割弱と一時期の勢いはない。
しかし、環境意識やエネルギーへの関心の高まりを背景に生活者の意識にも変化が表れている。一条工務店が2021年に行った「太陽光発電と家庭の電気料金に関する意識調査」では、太陽光発電の設置を「現在検討している」とした人は28.6%、「これから検討したい」も20.6%となっており、およそ半数が太陽光発電の設置に意欲を示した。さらに、その理由(複数回答可)を見ると、「家庭向け電気料金の値上げ」が45.2%で2位、次いで「自宅の電気代の増加」が44.5%で3位となるなど、2022年の大幅値上げ以前から電気料金を気にして太陽光発電の導入を検討する人が多かったことがうかがえる。
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