[2022年の重大ニュース]増え続ける空き家・空き地の本格活用が始まった
買取再販、コンバージョンなどで849万戸の空き家に価値を与える
この20年間で1.5倍に増え、今後も増加が懸念される空き家。社会問題となる空き家・空き地に価値を与え、社会ストックとして生かす取り組みが進み始めた。
2022年7月、国土交通省が「低未利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得100万円控除制度の利用状況」を公表した。
同制度は、2022年末までの特例措置として設けられた制度で、2020年にスタートした。個人が所有する低未利用土地など譲渡した場合、長期譲渡所得の金額から100万円を控除する。空き地・空き家の増加の要因の一つとして、相続はしたものの、売却収入が少ない、譲渡費用(解体費等)の負担が重い、譲渡所得税の負担感が大きいことなどから、土地を売らずに放置しておくことが指摘されている。
こうした負担感を軽減することで売却インセンティブを付与し、土地に新たな価値を見出す者に向けての譲渡を促すことが同制度の狙いだ。
制度を開始した2020年7月から2021年12月までに、自治体が低未利用土地等の譲渡に対して確認書を交付した件数は5150件。すべての都道府県で交付実績があり、最も多いのは北海道の351件、以下、茨城県325件、鹿児島県244件と続く。譲渡前の状態は「空き地」が55%、「空き家」が27%であり、8割以上が「空き地・空き家」であった。また、その所有期間はばらけてはいるものの、「51年超」が3割弱など、31年以上保有している物件が約6割を占める。また、「譲渡後の利用用途」は住宅が約6割と最も多い。長期にわたり放置されてきた空き地・空き家が、この制度により住宅として活用されたといえる。
空き家活用がビジネスに
ニュータウンの再生も始まる
「平成30年 住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は848万9000戸と過去最多となり、全住宅ストックに占める割合は13・6%となった。この20年間で1・5倍の増加である。なかでも二次的利用、賃貸用または売却用の住宅を除く「その他の空き家」は約1・9倍の増加だ。少子高齢化の進展、人口移動などを背景に増加の一途をたどっており、適正な管理がなされていない空き家が、防災、衛生、景観などの面から大きな社会問題となっている。さらに、今後、人口や世帯数の減少、また、高齢化に伴う相続が増加するなかで、さらなる空き家の増加が見込まれている。
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