[2022年の重大ニュース]木材利用促進へ関連法案改正が成立、公布
吸収源対策、脱炭素化で木造化推進
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2022年6月、関連する法律の一部を改正する法律案が成立、公布された。建築物の省エネ化と共に、木材利用促進を図る。
2022年6月に成立、公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」では、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向け、建築物省エネ法の一部を改正、エネルギー消費の約3割を占める建築物分野での省エネ対策を加速する。あわせて、建築基準法などの一部を改正し、木材需要の約4割を占める建築物分野での木材利用を促進し、吸収源対策の強化に寄与していくことも柱の一つとして明記された。
建築基準法では、特に中大規模木造建築において、防火面、構造面での規制がより安全側を考慮して定められているが、安全が確認できる範囲で、規制の合理化を進め、建築基準法の一部を改正する。具体的には、「大規模建築物について、大断面材を活用した建物全体の木造化や、区画を活用した部分的な木造化を可能とする」、「防火規制上、別棟扱いを認め、低層部分の木造化を可能に」(第二十六条第二項関係)といった防火規制の合理化を進める。さらに、建築士法の一部も改正。「二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て(高さ13m以下→16m以下)の木造建築物の拡大」(第三条第一項関係)といった構造規制の合理化を進める。塩見英之 住宅局長は、「これまでも規制の合理化を進めてきている。今回の法改正においても一部、防火、構造規制を中心に合理化する。規制が合理化されれば、設計の自由度が上がり、新しいビジネスがそこに生まれてくる可能性がある」と話す。
これに先立ち2021年6月には、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(以下、木促法)」も改正され、一般建築も含めて木造化を推進していく方針が打ち出された。木材利用の基本方針、都道府県や市町村が定める基本方針の対象範囲を、現状の公共建築物から建築物一般に拡大し、広く民間建築も含めて木材利用を促進する。
木造建築物の設計・施工に係る先進的技術や、強度などに優れた建築用木材の製造技術の開発・普及も促す。木材製造事業者が、公共建築物に係る建築用木材の供給能力の向上を図るために、建築用木材の製造のために必要な施設の整備、高度な知識又は技術を有する人材を確保する取り組みに対して、国や地方自治体が必要な措置を講じるように努めることを求める。木材製造の高度化に関する事業者の計画を認定し、開発資金を助成する仕組みなども盛り込んだ。また、国・地方公共団体と事業者などによる建築物における木材利用促進のための「建築物木材利用促進協定」制度を創設。国・地方公共団体は、協定を締結した事業者などへ必要な支援を行う。
まず木造で建てられないか?
ウッドファーストの時代に
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