[2022年の重大ニュース]COP27がエジプトで開催 エネルギー危機のなか脱炭素への危機感高まる
住宅業界で加速するスコープ3への取り組み
気候変動により世界中で洪水や干ばつが相次ぐ。こうしたなかで開催されたCOP27では、その対策が大きく進むことはなかった。危機感を増す環境問題、その対策が急がれる。
2022年11月6~20日、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)がエジプトで開催された。
当初、会期は18日までの予定であったが、2日間延長されての閉幕となった。今会議の大きなポイントとなった途上国を支援する基金の創設をめぐり交渉が難航したため、期間を延長してようやく成果文書の採択に至った。一方、二酸化炭素の排出削減に向けての対応強化には至らず、逆にEUが主張してきた「地球の平均気温を産業革命前から1.5℃上昇に抑制」という目標が削除された。
2021年にグラスゴーで開催されたCOP26では石炭の廃止が大きなテーマとして議論が行われたが、COP27では様相が一変した。その背景の一つにロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機が指摘されている。COP26で採択された「グラスゴー気候合意」では、石炭火力発電の段階的な削減努力が盛り込まれた。しかし、ロシアへの制裁などにより天然ガス価格が高騰、脱炭素を先導してきた欧州をはじめ、発展途上国などでも石炭火力の活用が広がったのである。一方で、COP26で求められた「COP27までに自国目標の見直し」を実行した国はごくわずかにとどまり、大きな進捗はみられない。
こうしたなかで発展途上国は地球温暖化による洪水や干ばつの損害賠償を強く求めた。これまで先進国は、途上国の洪水や干ばつは地球温暖化が原因と主張してきた。こうしたより多くの二酸化炭素を排出する先進国に対して、発展途上国がその賠償を求めたものだ。未だ飢餓が続き、電力なしの地域もあるという発展途上国。気候変動への対策よりも、食料や水、また、感染症など多岐にわたる目前の課題の方が深刻かつ優先度が高いのは言うまでもない。その結果、「損失と賠償」基金の設立が合意された。
この基金設立と1.5℃目標をセットとして化石燃料の段階的廃止を落とし込んだ合意文書の原案が作られたが、発展途上国にとって化石燃料は必要であるという強い反対論があり、最終的な合意文書には1.5℃目標も、化石燃料の段階廃止も削除された。
大きな懸念であった「損失と賠償」の問題について一定の進捗があったが、2015年のパリ協定以降、一貫して強化されてきた温室効果ガス排出抑制の流れ、1.5℃上昇を目標とする流れがCOP27でストップした。2023年にUAEで開催されるCOP28では、基金の内容を詰めることが議論の中心となる。COP27は、地球温暖化対策の流れの大きな転換点になったといえよう。
住宅産業界全体での脱炭素の仕組み構築を
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