2022.11.30

東京電力エナジーパートナー、新料金プランなどで太陽光発電の設置をバックアップ

PPA、新型エコキュートの提案など

東京電力エナジーパートナーは、住宅への太陽光発電設置を支援するための様々なサービスメニューを用意し、住宅事業者への提案活動を推進している。

東京電力エナジーパートナーが提案するサービス

脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電の設置を推進する動きが活発化している。例えば東京都や川崎市が、新築住宅への太陽光発電の設置義務化に踏み切ろうとするなど、社会的にも注目が集まっている。

また光熱費の上昇に伴い、生活防衛策として住宅の省エネ性能向上や再生エネルギーに関する意識も高まってきている。

しかし、その一方で余剰電力の買取価格は年々減少傾向にあり、一時はKWh当たり48円であった買取価格は、2022年度には17円にまで低下。2023年度には16円になる予定だ。

太陽光発電に関する社会的な要請や消費者ニーズは高まる傾向にあるが、買取価格の低下によって経済的なメリットが見え難くなってきている。こうした中で、住宅事業者にとっては余剰電力の売電益以外のメリットを顧客に提案することが求められている。

東京電力エナジーパートナーでは、「脱炭素化社会の実現には、エネルギー利用における脱炭素化の推進が必要不可欠」として、住生活の脱炭素化に貢献する取り組みを進めている。その一環として、太陽光発電に関する取り組みを進めているところだ。

余剰電力を給湯に活用
新電力プランも開始

同社では、2022年2月1日から、おひさまエコキュート専用の電気料金メニュー「くらし上手」の受付を開始。

おひさまエコキュートとは、深夜電力を用いてお湯を沸かすのではなく、太陽光発電が日中に発電した電力を使用して給湯を行うもの。一般的なエコキュートの場合、電気料金が割安な夜間電力を利用するが、電気料金の上昇によって深夜電力の料金も上昇傾向にある。また、夜間にお湯を沸かすことで、実際にお湯を使うまでのタイムラグが発生し、エネルギー効率が低下することもある。

一方で、太陽光発電を設置した住宅であれば、余剰電力を給湯に活用することで、家庭全体の光熱費を削減できるというわけだ。買取価格の低下に伴い、蓄電池に電力を貯めて自家消費を促すという手法が注目されているが、おひさまエコキュートを活用することで、余剰電力を給湯に活用するという新しい選択肢ができる。

新しい電気料金メニュー「くらし上手」は、太陽光発電とおひさまエコキュートを設置した住宅向けのもの。昼夜間の料金差を無くし、時間帯を気にせずに電力を使用できる電力メニューになっている。同社の試算によると、給湯にかかわる光熱費を大幅に削減できるため、太陽光発電を設置した住宅であれば、夜間湧き上げタイプのエコキュートよりも経済的なメリットが大きくなるという。

なお、おひさまエコキュートについては、2022年2月にダイキン工業が発売し、パナソニックも販売をスタートさせている。今後、三菱電機、コロナなども市場投入する予定だ。

初期費用0円で太陽光発電と蓄電池を設置

同社では、「エネカリプラス」というサービスも提供している。いわゆるPPAモデルと呼ばれるサービスで、初期費用0円で太陽光発電を設置できる。同社が利用者の住宅の屋根に太陽光発電を設置し、利用者は発電した電力を利用できるが、余剰電力は同社が利用する。

太陽光発電だけでなく、蓄電池も同じように初期費用無しで設置できる。契約期間中のメンテナンスや故障などは同社が対応し、契約期間が終了すると全ての機器を無償で譲渡する。

太陽光発電と蓄電池のセットの場合、契約期間10年と15年のプランがあり、太陽光発電のみの場合は10年プランだけとなる。

サービス料金は、太陽光発電のみのプランで月額約5600円。条件などにもよるが、月額料金を支払っても、太陽光発電で発電した電力が利用できるため、全体の光熱費を安くすることは十分に可能だ。
この「エネカリプラス」については、住宅事業者やデベロッパーが利用登録を行い、顧客に提案していくことになる。既に約290社(2022年10月末時点)が登録済み。同社では、今後も住宅事業者やデベロッパーなどとの連携を深めていきたい考えだ。

太陽光発電の相談窓口も開設

同社では、エプコ(東京都墨田区、岩崎辰之代表取締役)と共同で、TEPCOホームテックという会社を設立し、リース方式により太陽光発電を設置する「エネカリ」というサービスも展開している。また、TEPCOホームテックでは、戸建て住宅事業者向けに「都条例対応相談窓口」を開設。東京都の太陽光発電の義務化を受けて、住宅事業者からの相談に応じるためのものだ。

東京電力エナジーパートナーの戸建住宅電化営業部の伊藤真哉・提案営業グループマネージャーは、「ここにきて太陽光発電の設置について具体的な検討をはじめる住宅事業者の方々が増えてきている」としており、今後も太陽光発電を核とした新しい電化住宅の提案に注力していく方針だ。