自分たちが暮らすまちの“日常”を発信 まちやどとは、地域が本来持つ姿を愛でること
宮崎晃吉氏 (一社)日本まちやど協会代表理事・HAGISTUDIO代表取締役
まち全体を宿泊施設に見立てる「まちやど」。地域の飲食店や風呂屋、みやげもの屋などを巻き込んだ事業は、そのまちの魅力の発信を大きな特徴とする。(一社)日本まちやど協会の代表理事であり、自らもまちやど「hanare」を展開する宮崎晃吉氏に、まちやどと地域とのつながりについて聞いた。
──コロナ禍で、まちやどをめぐる状況にどのような変化がありましたか。
(一社)日本まちやど協会は全国の「まちやど」を運営する事業者によって構成される団体で2017年に設立しました。現在、27のまちやどがあり会員として各地の事業者が登録しています。
まちやどをめぐる環境はコロナ禍で大きく変わりました。宿泊客が海外の方か国内の方か、どちらが多いかで異なりますが、コロナ禍で外国人旅行者は実質、来日することができなくなりましたから、いったんシェアハウスに用途を変えて運営するなど、それぞれの対応を図ってきました。一方で、移住の動きが進みました。こうした状況を経て、そもそも自分たちの取り組みが移住のきっかけになるということにあらためて気づいたという面もあります。消費的な観光ではなく、地域が本来持つ姿を愛でるということが評価され始めており、むしろ時代が私たちの方に近づいてきていると皆さんが感じています。
一方で、協会としては、ここ数年、コロナ禍の影響で活動が制限されました。会員それぞれも宿の運営が厳しくなるなか、ジタバタしても仕方ない、こういう時期だからこそ腰を落ち着けてできることは何だろうと皆で話しました。単に「まちやどに来てください」ではなく、もっと本質的に地域と事業との関係とは何か、地域でどのような役割が求められているのか、それを私たち自身が探すためにも、何か学びが得られる活動がしたいと考えました。
そこで新たな取り組みとして、年間誌「日常」を2021年5月に発刊しました。今年9月には第2号を発行しています。必ずしも宿に限らず、その地域に暮らしながら働いている人たちを取り上げて取材しています。また、大型書店やアマゾンなどでは販売せず、あえて地域の書店、まちやどのレセプションなど販売窓口を絞っています。
──まちやどという事業は、地域の活性化にどのように結びつくと考えていますか。
地域活性化の捉え方は会員事業者によってさまざまだと思いますが、共通しているのは、会員もそこで暮らしているということ、その事業者が良いと思っている取り組みを発信しているということです。
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